ザ・マンション管理士マインド対談2016

mind2016~ プロナーズ10周年を迎えて ~

有限責任事業組合
マンション管理士プロフェッショナルパートナーズ

代表理事 川原一守
理事(研修担当) 親泊哲

日時:2016年1月7日
場所:エクシブ箱根離宮(神奈川県足柄下郡箱根町)

■初年度の試行錯誤と2年目以降の飛躍

【親泊】
プロナーズ事業の開始から、昨年末で早10年が経ちました。節目の時期に、ざっくばらんに過去10年を振り返ってみたいと思います。改めて、プロナーズを設立したのが平成17年の12月。最初の認定研修の開催が翌18年の4月でした。

【川原】
10年一昔と言われますね。10年前と言えば、マンション管理士として登録している者が13,000名ぐらいの時期でしたか(注:現在は約22,000名)。マンション管理を巡る出来事としては、「マンションみらいネット」の運用がスタートした頃でしたね。

【親泊】
初めて開催した平成18年春の認定研修は、設立のわずか4ヶ月後という性急なスケジュールでした。私達も初めての経験で、期間中の情報発信も十分にできなくて苦戦しましたね。特に、私達がプロナーズ事業を開始するにあたっては、全国のマンションストックの半分以上が存在する一都三県エリアで、マンション管理士として独立開業を志向する者が相当数いると予想していたところ、実はマンション管理士としての起業を真剣に、あるいは本気で考えている者があまりにも少ないという現実に直面することになりました。

【川原】
そうでしたね。しかし、その後、すぐに笑い話にできるようにもなるのですが、スタートするなりハッキリさせることができてよかったことは、それ以前から「マンション管理士を生業としたい」というマンション管理士の声は非常に多かったものの、実はその大半において、生業とすることを真剣に考えているのではなくて、「あわよくば生業とすること」と考えているに過ぎないことがわかったことでした。

【親泊】
最初の認定研修の2ヶ月ぐらい前に、現在の「開業セミナー」の前の企画に当たる「ガイダンス」という名目の無料のイベントを開催したことがきっかけでしたね。実際にも、会場に入りきらないのでは?と心配させられるほど多くのマンション管理士が集まり、その大半は当時のマンション管理士会の会員でもあるマンション管理士でした。当時は、マンション管理センターのホームページ上に存在していた「マンション管理士情報検索サービス」に掲載されているマンション管理士の個人情報を頼りにガイダンスの開催案内(DM)を発信したと記憶していますが、そこに情報を掲出しているマンション管理士の多くが管理士会の会員でもあったということですね。

【川原】
「マンション管理士を生業としたい」という話は当時、マンション管理士会の会員であるマンション管理士を中心に盛り上がっていたので、管理士会の会員のマンション管理士のガイダンスへの参加が多いことは織り込み済みでしたが、ここで繰り出される参加者の質疑が何かにつけ管理士会とプロナーズ事業の比較に関することに集中した点が印象的でしたよね。

【親泊】
マンション管理士会とマンション管理士が「入会」「会員」あるいは「所属」という関係にあるのに対し、プロナーズとマンション管理士の関係は「認定」ということにすぎないのに、無理に両者を比較しようとするような質問が多かったことを私も記憶しています。

【川原】
このガイダンスの出席者の中には、プロナーズの世話にならなくても、自分で業として成り立たすことができると感じたマンション管理士もあったとは思います。しかし、結果としてガイダンス出席者の中から最初の認定研修を申し込んだマンション管理士が皆無であった出来事によって、いわゆる「あわよくば生業とすること」を志向しているマンション管理士が多い現実を確信させられることになりましたね。

【親泊】
同じ時期には、インターネットの掲示板に、マンション管理士会の会員を名乗る者によって、マンション管理士のたかだか数人が同じ国家資格者に対して「認定する」などとはおこがましい!といった趣旨の書き込みがされたりもしました。

【川原】
面と向かって言われたような記憶はほとんどありませんが、マンション管理士の中にプロナーズ事業に対して強く反発している人達が少なからずいたようです。

【親泊】
私が昨年まで所属していたマンション管理士会(注:日管連の組織再編により解散)のホームページには、会員専用ページに掲示板があったのですが、そこに当時、「プロナーズに対する会の見解を教えて下さい。」といった趣旨の書き込みがされ、会の解散に伴ってホームページが閉鎖されるまで、いわゆる過去ログとしてこの書き込みが10年近く残っていました。投稿者の真意は不明ですが、ここで管理士会がどのような見解を示すことに期待してなされた書き込みなのかと思わされたものでした。

【川原】
マンション管理士会の中で、同じ会員でありマンション管理士であるのに、なぜ、あの人にだけ業務の依頼があるのか?といったことが変な視点で問題視されたり、複数のマンション管理士が各自の得意分野を結集することによって、そうした者にも対抗できるといったようなことが真剣に議論される時代でしたよね。

【親泊】
そうでしたね。プロナーズ事業は、業務展開を志向するマンション管理士、すなわち事業者として管理組合に活用される必要があるマンション管理士と、そうではないマンション管理士とを差別化し、もって管理組合がマンション管理士を選びやすい環境を構築することを目的とするもので、この点は当時も今も基本的に変わりません。独立開業を志向するマンション管理士の能力担保や、ノウハウ共有を実施できる公的機関等がない現実を考えれば、プロナーズ事業が当のマンション管理士から反発を受ける理由などは、もとよりなかったはずです。

【川原】
まあ、私達プロナーズの運営者側としても、趣旨説明を含めた必要な説明を十分に尽くす時間を確保できなかった点を反省しなければならないのでしょうね。プロナーズ事業は、かなり誤解された状態でスタートしたと言えますね。

【親泊】
そうした中、最初の認定研修で、言わば「プロナーズ第一期生」として認定した井手信マンション管理士を忘れることはできません。後年、病に倒れ、亡くなってしまったことは、非常に残念でしたが、認定後には、代表理事を実務バックアップ担当に指名し、代表理事の事務所に日参する勢いで経験の蓄積に努め、早い時期から名代プレゼンなどにも挑戦していました。

【川原】
井手さん、懐かしいですね。井手さんが初めて自分で業務を獲得したときには、我が事のように嬉しかったものです。プロナーズは基本的に仕事を紹介する団体ではありませんが、管理組合に選ばれるマンション管理士になることを目指して努力している者には、ちゃんと花が咲くことを実証してくれました。

【親泊】
井手さんの意欲や積極性には、その後の認定者にも見受けられない特別なものを感じさせられました。自ら「プロナーズ一期生」であることを公言し、相当な緊張感をもって望まれていましたね。努力の甲斐あって、その時点で最長5年にわたって「仕事がない」と言っているようなマンション管理士達を1年足らずで抜き去ったことは痛快でした。

【川原】
制度発足当初から業務展開している私達が、単に運がイイだけではないこととか、特別な存在ではないことや、何か正攻法ではないような方法で仕事を獲得しているわけではないことを、最初に井手さんが実証してくれたことになりますね。

【親泊】
ところで、スタート直後に以上のようなことを経験し、打開策を模索していたプロナーズ事業に対して当時、従来との「差別化」ということを助言して下さった第三者は、平成18年の秋に開催した第1回プロナーズセミナーでパネルディスカッションのパネラーをお願いした村井忠夫先生でした。曰く、無料が当たり前のマンション管理に関するセミナーについて、差別化を図るのなら有料化して当然という助言であったと記憶しています。

【川原】
確かにそのとおりで、貴重なご助言でした。第1回プロナーズセミナーをおそるおそる「有料セミナー」として開催したところ、大勢の参加者があったことが自信となって、前記の「無料ガイダンス」も、2年目からは「有料(3,000円)の開業セミナー」として開催するようになったのでしたね。

【親泊】
そうです。さらに、2年目に向けて、プロナーズ代表理事を著者とするノウハウ本「マンション管理士で独立開業して確実に成功する本」が出版されて大きな反響を呼ぶことになりました。特に、この情報については、すでにマンション管理センターの情報検索サービスが閉鎖され、新たなマンション管理士に関する情報を得る方法がなくなっていた時期にあって、業務展開を志向する全国のマンション管理士に向けて活字で発信された決定的な差別化のメッセージになったと考えられます。

【川原】
ちなみに、「開業本」とか「黄色い本」とか呼ばれているこの本ですが、先日リサーチしたところ、すでに書店での入手は困難で、ネットを通じて中古品を買うにしても、定価(本体1,200円)の倍以上の金額でしか入手できない状況のようです。

【親泊】
そうなんですか!それは真のプレミアと言えますね(笑)。それに加えて、開業本にも一部が収録されることになった前回の「マインド対談」が図らずも差別化のメッセージになったようでした。

【川原】
その結果、2年目の開業セミナーは、起業を目指す試験合格直後のマンション管理士ばかりが全国から集まりました。質疑応答の時間には、運営者メンバーの事務所の売上に関する質問も出されたりして戸惑うことになった一方、前年とは打って変わって管理士会に関する質疑などがほとんどなかったことには、驚きとともに清々しさを覚えましたね。

【親泊】
あと、プロナーズ事業とは直接関係ない期間中のエピソードとして、マンション管理士の誕生から5年目に当たるこの年(平成19年1~2月頃)、マンション管理士に対する法定講習(注:正式名は「登録講習」)が始めて開催されました。会場である資格学校の一室に40名程度のマンション管理士がいるのですが、周囲は全く知らないマンション管理士ばかりであったことが衝撃的でした。

【川原】
そうでしたよね。スーツに身を包み、休み時間には決まって携帯連絡という受講者がけっこういました。裏を返せば、いかに業界にマンション管理士が多いかを思い知ることになりました。

【親泊】
この世界は、何かと「狭い」と思わされることが多いものですが、この現象については、特にマンション管理士会の世界が狭いと思わされる現象でしたね。以前も今も管理士会の会員ではないマンション管理士の方が圧倒的に多いわけで、そうしたマンション管理士や、これからマンション管理士になる人たちに対するメッセージの発信こそが大事であったことになります。

【川原】
その直後に開催した平成19年春の認定研修は、あっという間に定員10名の申し込みに達しましたね。皆が皆、試験と実務の間を埋める必要があるということに、いち早く気がついたマンション管理士でした。特に、北海道、兵庫県、静岡県など、一都三県以外のエリアのマンション管理士から申し込みがあることは、この時点では想定外のことでした。事業者として管理組合に活用される必要があるマンション管理士と、そうではないマンション管理士との二極化が静かに確実に始まっていると感じさせられました。

【親泊】
スタート当初、世間では、プロナーズの初年度の認定費用が高いといったことが話題になりましたが、実際に認定研修を受講したマンション管理士からは、総じて逆の評価が得られることにもなりました。こうした点を含めて、個人的に当時、村井先生にここまでの結果を報告したところ、なんとも喜ばしい話ではないですか!と激励のお言葉を賜りましたよ。

【川原】
この年に限っては、秋にも認定研修を開催するなど、プロナーズ事業に確実な弾みがつきましたね。また、認定者も増えたことで、現在では恒例となっている冬季の宿泊継続研修をこの年から催行することにもなりました。ちなみに、夏季のそれと通算して、本日午後の開催が18回目となります。個人事業と同様、プロナーズ事業においても、行動を起こさなければ道は開かなかったことになりますね。もちろん、継続のための努力がここから求められることにもなったわけですが。

【親泊】
振り返って、スタート時の「無料ガイダンス」の経験から様々なことを学び、本気で業務展開を志向するマンション管理士に求められることなどについて、積極的な情報発信の行動を起こしたことが、プロナーズ事業のターニングポイントと言えました。

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