認定研修の様子(2011/04実施)

2011年4月11日、2011年度認定研修がスタートしました。

今年から今までの5日間から6日間に研修期間を延ばし、また、テキストも従来の2倍近いのボリュームに刷新して臨んだ研修です。

まず最初は、マンション管理士として、また、起業する上での心構え、業界環境や、マンション管理士の主要な業務、他資格者との業務分界点、コンプライアンス、マンション管理士事務所のイメージ、業務受託についての基本的な考え方、同業のライバル等について勉強するプロナーズが最も大切にする第1編「マンション管理士マインドの形成」に関する講義です。講師はプロナーズ川原代表理事、親泊理事が務めます。

一番基礎となる大切な部分ですが、いきなり座学で4コマ合計6時間。これから6日間のハードの研修の始まりです。 

続いて「財務・会計」、「税務・労務等」の講義は、伊藤講師(プロナーズ認定者)が担当します。

「財務・会計」では、管理組合会計の目的を公益法人会計、企業会計との比較や、実際の決算書などを用いながら問題点の指摘や改善方法、また、管理組合の税務に関する実務上の取扱いについて学びました。

初日最後の講義、「税務・労務等」では、管理士の実務とは少し離れて、事務所を開設するときの具体的な手続や税務上の留意点、労務関係の手続き等について、実際の書式も用いた具体的な生々しい独立開業の講義に受講生一同聞き入って初日目の講義が終了しました。

研修2日目は午前中は親泊講師による区分所有法の基礎編、応用編の2コマの講義です。区分所有法はマンション管理士試験でも勉強しているはずのことですが、実務上必要な団地等についての理解を再認識しました。
応用編ではさらに4つのケーススタディも含めて考えさせられる講義でした。

2日目の午後最初の講義は稲葉理事による「規約」の講義です。

区分所有法の歴史と標準管理規約の変遷の背景等、また、その時期に竣工したマンションで設定された規約の特徴等、今後、規約改正の業務を行うためにも知っておかなければならない知識背景等を学習しました。
2日目、4~6コマ目は瀬下理事が担当します。

「マンション管理適正化法」の講義ではおさらいも含めて、昨年5月から施行された施行規則の改正に伴う管理費等の収納方法の変更内容なども重点的に確認していきました。

「管理委託契約」では、管理委託契約書の実務上の留意点などを標準管理委託契約書などを参照しながら学びました。

2日目の最後は、「各社決算書の異同」の講義で、実際の管理会社が作成する決算書の書式を示しながら、それぞれの特徴とマンション管理士としてチェックする上の留意点について具体的な紹介がありました。

1日空けて認定研修3日目、午前中は親泊理事の「管理組合の特性」、瀬下理事の「管理組合と管理会社の関係」の講義です。

「管理会社の特性」では、我々マンション管理士の顧客対象である管理組合が、どのような組織的な特性をもっているか、子細に分析し、今後の業務受託のヒントとするための講義です。

また、「管理組合と管理会社の特性」の講義では、管理組合と管理会社はどのような関係にあるかを正しく理解することにより、マンション管理士が存在する価値やみだりに管理会社に批判的な姿勢を取らないような、管理会社と管理組合の関係の中でマンション管理士の立ち位置を理解し、今後、管理組合運営にかかわる際のヒントとしていきます。

午後からは、親泊理事の担当する「顧問業務の実際」の講義で、実際にマンション管理士が管理組合でどのような関わりかた。サービス、価値を提供しているのか、全部委託のマンションにおける顧問業務の実際や、自主管理における事例紹介など丁寧な解説をしていきました。

4コマ目は外部講師で、大手管理会社の保険担当部門での豊富な経験をもち、現在は独立して管理組合の保険を中心とした保険代理店を村瀬講師を招き、「マンションの保険」について、保険の基礎から、大手損保会社の商品の比較、事例紹介、また、時節柄、マンション共用部の地震保険についても丁寧な説明と、質疑応答がありました。

5コマ目は、川原代表理事による「アプローチから成約まで」の講義です。

メールによる相談の見極め方や対面相談での用意してもらう資料やポイントを前半で触れ、後半では、2つのマンションでのコンサル採用に当たり、複数のマンション管理士等と競合した事例を紹介し、どのようなポイントで提案していったか、管理組合はどのようなところを評価するのか等を実際の事例資料を交えて解説しました。

3日目、最後の講義は内藤理事による「マンション管理士によるホームページ活用法」の前半の講義です。

ホームページの基礎的な話から、プロナーズで提供している認定者用ホームページサービス、管理組合用ホームページサービスなどについて、丁寧な解説を行いました。

4日目午前中は重松理事の担当する「長期修繕計画、建物診断」、「大規模修繕コンサル」の講義です。

「長期修繕計画、建物診断」では、長期修繕計画の基本的考え方や、チェックポイント、見直し業務への取り組み方、専門業者への依頼のパターンや方法についての解説がありました。

「大規模修繕コンサル」では、大規模修繕工事とは、というところから、大規模修繕工事へのマンション管理士のかかわり方、また、実際の見積比較資料などを用いて、談合の実態も含めた生々しい講義が行われました。

午後の講義は、まず、「マンションの設備」を瀬下理事が担当します。

マンションの主な設備として消防設備、給排水関係の設備、エレベーター設備等について基本的な知識の再確認や、事故事例等も交えて実務上、最低限必要な知識を再確認しました。

4コマ目は重松理事の担当する「管理費等の滞納」の講義です。

管理費等の滞納はどのマンションにかかわっていても起こり得る問題ですが、基本的な考え方と取り組み姿勢、また、マンションにおける管理費等の滞納の特徴と問題点、また、その対策、特に区分所有法59条の競売に関しては教科書で知識としては知っていても、実際の事例等にも触れ、実務上貴重な知識を学習しました。

5コマ目はプロナーズ認定者で土地家屋調査士でもある山崎講師を招いて、「マンションの登記簿」についての講義です。

不動産登記の制度の基本的な事項から、登記できる建物、法務局での資料調査、登記簿の見方等、表面的に試験勉強した知識を実際の登記簿の事例(規約共用部分など)も見ながら基本的な考え方からもう少し踏み込んで理解を深めていきました。

4日目最後の講義は、3日目に引き続き、内藤理事による「マンション管理士によるホームページ活用法」の後半の講義です。

前半に引き続き、プロナーズの提供するホームページサービスの管理方法やマンション管理士としてどのようにホームページを今後活用していくか等について学びました。

土日はお休みで週明けは5日目、認定研修もいよいよ残すところ後、2日です。

最初の講義は稲葉理事による「合意形成の手法」の講義です。

管理組合における合意形成の基本的な事項や、実際に用いられる手法、マンション管理士の果たすべき役割やテクニックについて、今後のマンション管理士実務にあたり根幹となる合意形成について学びました。

2コマ目から4コマ目は実際の具体的なテーマのコンサル業務について、基本的な考え方や注意点、実際の進め方等について学んでいく講義です。

「規約の見直しコンサル」は親泊理事が担当し、規約の見直しは意外とそれっぽい成果物もできやすく、やや容易な業務であるかのような誤解があるなど、実際のマンション管理士の役割や取り組みについての基本的な事項や、典型的な事例の一つとして後段の団地型マンションでの規約の見直しの事例、単棟型の規約が団地型のマンションで定められていると何が困るか等の事例等をふまえて、勉強しました。

「管理委託契約の見直しコンサル」は川原代表理事が担当し、ポイントとして個人的な椎の排除と透明性のある見直し、既存の管理会社についての考え方、透明性の確保や、最終的な委託先内定まで役員以外の組合員も参加していくようなプロセスなどを実際の事例や資料を交えて説明しました。

「第三者管理者方式」は親泊理事が担当し、実際に業務を行っている事例を含めて、第三者管理者としての業務の典型的な類型や特徴、自身のご経験などから、管理者という当事者になることに対してのマンション管理士としてのスタンスなどを学習しました。今後、マンション管理士の業務の分野の一つとして注目されている部分でもあり、受講生も興味深く聞き入っていました。

続いて5日目の5コマ目はプロナーズの顧問弁護士の中原先生をお招きして、「マンションの紛争」の講義です。
講義の中では、実際に先生が経験された法的紛争の事例をケーススタディのように学習していく形式で行いました。今までになく、一人づつ指名されて意見を求められたりと受講生もなかなかわかっているようで、言葉に出すのは苦心している様子でした。

5日目、最後の講義はNPO法人日本メディエーションセンター理事で司法書士の稲村先生をお招きして、「メディエーション」の講義です。

この講義は、ADR(裁判外紛争解決)等が資格士業の業界の中では取り組まれている中でその現状を知ってもらうのと、裁判による法的な紛争にはなじまない、近隣問題等の紛争解決の手法として当事者、相互の理解と話し合いを促進していくというメディエーションという考え方を学ぶ講義です。

ADRやメディエーションの歴史、背景、また、紛争の背景は法的なものだけではなくて、コミュニケーションや相互理解の中で解消されていくことも多いということを、日々の業務や相談の中で生かしていくような知識と気づきのある講義でした。

6日目、最終日は、1日体験型の講義で締めくくります。

まず、午前中は「聴くこと編」として、プロナーズの理事が管理組合の役員、管理会社のフロントマンに扮した理事会の様子をDVDで3話見てもらいます。この理事会の様子をみて、すすめ方の問題点について受講者が指摘してディスカッションを行います。これまで勉強してきた知識をふんだんに使って活発な意見交換をしながら、マンション管理士として必要な理事会に出席したときに問題を指摘する入口を体験してもらいました。

午後からの「話す事編」では7名づつ、2班に分かれて、前半ではプロナーズ理事が相談者に扮して、受講者に一人づつ実際の相談に回答してもらいます。

その後、相談者に扮していたプロナーズ理事の模範解答を聞いて、実際の相談事例や、相談応答を体験して、その難しさやポイントを勉強します。

後半では、管理委託契約の見直し業務と顧問業務の2つのテーマから選択で、実際の管理組合の理事会に呼ばれた前提で一人づつプレゼンテーションを行います。みんな、慣れないことに苦労しながらも、これまで勉強してきた事を言葉にしてお客さんに伝える事が、いかに難しいか、今後のトレーニングや実戦経験が大切かを肌を持って学びました。

また、このプレゼンの様子はDVDで撮影し、一人づつに後日送付されます。これを見て反省し、今後の改善の糧にしてもらう事を目的としています。

以上で無事、6日間34コマ57時間を超える研修を終了し、認定式で受講者全員に川原代表理事より認定証が手渡されました。

この後は受講者、理事メンバーでで懇親会に突入し、交流を深めてそれぞれの今後の健闘を誓い合い、2011年度の研修は幕を閉じました。

いかがでしたでしょうか?

今回の認定研修から従来の5日間の研修から6日間の研修にリニューアルし、テキストも2倍近いボリュームに改編した最初が2011年度の認定研修となり、その様子を今後、認定研修の受講を検討される方の参考になれば幸いです。

ご不明な点などはプロナーズ事務局(045-242-8417 or info@pro-ners.com )までお問い合わせください。