今週は「マンションの保険」についてでしたが、最新情報への改編作業中でございます。つきましては、予定を変更して大規模修繕工事に関する内容をお届けいたします。

 
毎週お届けしている「管理組合運営基礎編」は、

役員になったばかりで何もわからない、書類は送られてくるけどよくわからない、マンションを購入しようと思っているけどその運営って何?などの思いのある方に見ていただきたい内容です。 不明なことなどありましたら無料の電話相談をご利用ください。

 

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大規模修繕工事①

 

 

マンションの管理組合にとって一大イベントである大規模修繕工事の基礎を学んでみましょう、12年~15年のスパンで計画的に実施している管理組合が多くあると思われます。
管理規約にも区分所有法にもマンション管理適正化法にも大規模修繕工事という言葉はありませんが、一般的に管理組合が12~15年程度のスパンで計画的(長期修繕計画)に行っている建物・設備等の修繕等をいいます。
また、修繕には改良・改修も含んでいます。

 
修繕・改良・改修

 

≪修繕≫

劣化や損耗が進んだり、建物の機能が損なわれた場合に、部材の補修や取替えを行い、基本的には初期の性能レベルまで回復させることです。
※修繕を怠ると、漏水、断水、エレベーター停止等、快適な生活や機能の維持に支障を来すばかりではなく、外壁タイルの落下等により、人的又は物的な被害を招くこともあります。
被害がなかったとしても劣化等は進み、結果として多額の費用を要することになります。

 
≪改良≫
建築や設備のグレード、機能又は性能が陳腐化して使用上又は居住上の問題がある場合に、当初の性能を超えて、あるいは新しい機能等を付加してレベルアップを図ることをいいます。

 

≪改修≫
技術等の進歩により、その時代に合わせて行う修繕及び改良のことをいいます。
※計画修繕に対して経常修繕がありますが、これは、簡単なペンキの塗り替えなどです。

 

大規模修繕工事の目的

 

※規模修繕は何のために行うのでしょう。

ただ単に時期が来たから修繕工事を行うというのは適正な進め方ではありません。
大規模修繕工事を進めるにあたっては、その目的を明確にし管理組合全体として認識を一つにしておくことが重要です。
○千万~○億の修繕積立金を使ての工事ですから当たり前といえば当たり前のことです。
 

目的(例)

(ア)事故防止・・・コンクリート片・タイル剥離、手摺り腐食落下等
(イ)不具合の解消及び予防・・・雨漏り、赤水、排水不良、漏水等
(ウ)耐久性延伸・・・躯体、鉄部等
(エ)美観・快適性向上・・・塗装等
(オ)居住性・機能性向上・・・耐震性・断熱性の向上、バリアフリー対応、幹線容量増大等
(カ)資産価値向上・・・居住価値、使用価値向上

 

 

大規模修繕工事の進め方(例)

 

 

 

①管理組合の発意
②専門委員会の設置・検討
③建築士事務所の候補の選定
④委託費見積依頼・ヒアリング・内定
⑤総会の開催・決議
⑥業務委託契約(調査・診断、修繕設計、工事監理)
⑦調査・診断
⑧修繕基本計画
⑨組合員への説明会等の開催
⑩工事資金計画
⑪修繕設計
⑫施行会社の候補の選定
⑬工事費見積依頼・現場説明・ヒアリング・内定
⑭総会の開催・決議
⑮工事請負契約
⑯大規模修繕工事の施工
⑰竣工(完了検査、工事費清算)
⑱設計図書・書類の引渡し
⑲修繕時の履歴情報の整理・保管
⑳アフター点検

 

 

今回は、ここまでです。
次週は、大規模修繕工事②具体的な進め方についてです。

投稿者プロフィール

稲葉 早苗
稲葉 早苗株式会社マンション夢設計 代表取締役
プロナーズ理事(組織担当)
マンション管理士、管理業務主任者、宅地建物取引主任者、行政書士。
平成16年4月 稲葉マンション管理士・行政書士事務所開設
現在、マンション管理組合との顧問業務のほか、大規模修繕工事からマンションの再生に係る総合アドバイザーとして活動中。
また、マンション管理セミナーを開催し、マンションに係わる情報を発信している。