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理事会

理事会の位置づけと役割

区分所有法では特に定められているものではなく、管理組合の規約によって規定されています。マンション標準管理規約では第51条第1項に規定されています。
理事会は、総会決議事項の執行機関であり、且つ管理組合の具体的な運営方針を検討し策定する機関であって、管理組合運営の要となります。

 

理事会の業務

総会の議決事項についての執行を行うほか、管理規約や細則に定められた業務・管理組合運営に必要な業務を行います。

※以下はマンション標準管理規約上の業務です。

  • 理事長、副理事長及び会計担当理事の選任
  • 職員の採用・解雇
  • 理事長の職務の他の理事への委任
  • 理事の業務分掌
  • 臨時総会の招集
  • 総会の招集期間の短縮
  • 組合員以外の総会出席者の認定
  • 理事会の招集手続き
  • 管理費等の未納者への法的措置
  • 管理規約や細則の違反者への措置

 

理事会の議決事項

マンション標準管理規約では、下記を理事会決議事項としています。

一 収支決算案、事業報告案、収支予算案及び事業計画案
二 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止に関する案
三 長期修繕計画の作成又は変更に関する案
四 その他の総会提出議案
五 専有部分の修繕等に対する承認又は不承認
六 新会計年度開始後から通常総会で収支予算
管理規約に定める未納の管理費等及び使用料の請求に関する訴訟その他法的措置の追行
八 管理規約に定める義務違反者に対する勧告又は指示等
九 総会から付託された事項

 

理事会の構成員

理事会は、理事をもって構成する。
※監事は理事会の構成員ではありません。

 

理事会の運営

理事会の招集

理事会は、理事長が招集します。
マンション標準管理規約では、理事会の招集手続きについては、総会の規定を準用する、また、理事会で別の定めをすることも可としています。

管理組合の対応としては、定期的に理事会を開催することが望まれます。管理組合によっては、毎月第○の○曜日の○時からと決めているところもあります。
そして、何もなしで集まるよりは、事前の議題の提示や必要書類等に目を通し理事会に臨める方が効率的なやり方です。

 

理事会の成立

理事会の会議は、理事の半数以上の出席を必要としています。
その議事は出席理事の過半数で決することになっています。
※可否同数の場合は否決です。

 

理事の代理出席

理事会は、理事が集まって話し合うことが重要です。輪番で理事になったは良いけれど、理事会に出席しない理事が多いと理事会がせず、重要な案件などがあった場合必要な決議を得ることができず、適正な運営に支障を来 すことになります。

このような場合を避けるためには、理事会の開催日時等の調整をするほか、管理規約で、配偶者や一親等の親族に 限り、代理出席を認めるなどの規定を設ける方法があります。

※監事の理事会出席
監事は理事会の構成員ではありませんが、監事の業務は、組合の業務の執行及び財産の状況を監査し、その結果を総会に報告することです。特に組合の業務の執行を監査するには監事が理事会に出席することが望まれるところです。この際監事は決議には参加出来ませんが、意見を述べることはできます。

 

理事会の開催日

開催日は、毎月定期に開催することが望ましいでしょう。
理事会は、毎月、第○曜日の○時から(例:毎月の第3土曜日の19時から)、というように予め決めておくと、年間の開催スケジュールが立てられることとなり、各理事も出席しやすくなります。理事会開催の年間予定表を作成することも有効です。その予定表には、総会開催日、理事会開催日、専門委員会開催日、点検業務予定、修繕予定、委託契約や保険契約の更新、等も含むとより良いものになります。

 

理事会の議事の広報

理事会は、決議に至らない事案についての話し合いや各理事や管理会社等からの報告で終わってしまうことも少なくありません。しかし、理事会の議事について区分所有者に周知することは開かれた組合運営のためには大切なこと です。
総会の議事録は全戸に配布することが適正ですが、理事会の議事についてはそこまでは必要ないと考えられます。理事会の開催日時や議題などを広報するは大切です。

 

理事会議事録

マンション標準管理規約では、理事会議事録の保管及び閲覧について、総会議事録に準じることとし、議長が作成し、理事長が保管することになります。理事会の活動記録、役員交替時の引継資料としても重要です。組合員等からの閲覧請求があったときには閲覧に供することができるようにしておく事が大切です。

 

理事会の業務の引継ぎ

多くの管理組合では、1年ないし2年で役員の交替が行われています。全員若しくは半数ごとという違いはあると思われますが、交替時に最も重要なことは、業務の引継を十分に行うことです。理事会としての引継のほか、役職ごとの引継を行うことが重要といえます。

 

専門委員会の設置

管理組合の業務を理事会がすべてわたって対応するより、一定の事項については知識や経験を持つ組合員の強力を得ることで、効率的な運営を目指す場合に理事会の諮問機関として設置するものです。
※理事会の諮問機関:理事会の諮問に応じて、審議、調査等を行い理事会に意見を答申する専門委員会であり、理事会からの諮問に応じて意見を答申しますが、最終的な決定は理事会が行います。

設置例

  • 大規模修繕工事の実施
  • 管理規約の改正
  • 使用細則の作成又は改正・・・居住ルール、ペット飼育のルール等
  • 駐車場の運営等・・・利用方法の検討、増設の検討、機械式駐車場の運営等

 

 

※次回は、管理組合の会計編です。

投稿者プロフィール

稲葉 早苗
稲葉 早苗株式会社マンション夢設計 代表取締役
プロナーズ理事(組織担当)
マンション管理士、管理業務主任者、宅地建物取引主任者、行政書士。
平成16年4月 稲葉マンション管理士・行政書士事務所開設
現在、マンション管理組合との顧問業務のほか、大規模修繕工事からマンションの再生に係る総合アドバイザーとして活動中。
また、マンション管理セミナーを開催し、マンションに係わる情報を発信している。