野村不動産(本社東京)・野村不動産パートナーズ(同)は8月2日、今後分譲するマンションに、大規模修繕工事の長周期化を図る「アトラクティブ30」を順次導入していく、と発表した。
 新築時に高耐久部材・工法を採用するなどし、工事の予定周期を、従来の12年から16~18年に延伸する。
 昨年10月には、野村不動産パートナーズが野村不動産の「プラウド」を対象に、最長15年の工事保証を付けるなどして、大規模修繕工事の長周期化を図る「re:Premium」の提供を開始。今回のサービス開始で、今後は新築時から工事の修繕周期が16~18年に設定される形になる。
 来年8月の竣工を予定する「プラウド港北センター北」(神奈川県横浜市)、再来年1月竣工予定の「プラウド市川マークス」(千葉県市川市)を皮切りに、順次他物件に導入を進める。
 長周期化を実現するための「高耐久部材・工法」の具体例としては、外壁タイルに剥離・落下の恐れが低い有機系接着剤張り工法の採用などを挙げた。
 ほかにも屋上に従来のアスファルト防水に代わる新仕様で15年の保証を付けたり、専有分給水・給湯管に架橋ポリエチレン管・ポリブデン管といった樹脂管を採用。排水管も継ぎ手部分を含めて樹脂製にするほか、共用部給水管も樹脂化を進めていくなどして、各部材の長寿命化を図っている。

以上、マンション管理新聞第1079号記事からの抜粋。

 国交省は12年周期を推奨していますが、従来から適切な助言を実践する設計事務所は雨がかり部分以外は、12年周期で修繕を実施する必要はなく、従来工法であっても長周期で実施しても問題はないと主張されています。
 コンクリートは水が絡むから劣化の速度が速くなり、雨がかからないベランダ側の内側壁面や廊下側の内側部分の壁面は雨のかかる度合いが著しく少ないので、劣化の速度は非常に遅く、12年の周期で実施する必要はなさそうです。小職が受講した一昨年の「マンション維持修繕技術者フォローアップ講習」の先生も同じご意見でした。従って、工事費は圧倒的に低く済みますが、管理会社等が関与すると、そういうわけも行かず、やはり、上手く理由をつけて、全体の修繕工事となってしまうのが、現状です。
 野村不動産が大規模修繕工事の長周期化を率先して提案したことは、不透明な業界の中で画期的なことであり、また、排水管等でも継ぎ手部分も含めての樹脂化を進めているのも注目すべきことです。

 なお、本マンション管理新聞第1079号には、長谷工リフォームが築39年のマンションの屋上防水工事に対して、最長20年保証を付けたとの記事も掲載されています。保証期間中は10年目に一度シーリング材のチェックを実施するだけとのことで、保護塗そうは不要で、ランニングコストが削減できるとのことです。各社とも、大規模修繕工事の長周期化に向けて、日々、技術を進化させているようです。

投稿者プロフィール

福井 英樹
福井 英樹福井英樹マンション管理総合事務所 代表
マンション管理士(国家資格)・宅地建物取引士(国家資格)・区分所有管理士(マンション管理業協会認定資格で、管理業務主任者の上位資格)・マンション維持修繕技術者(マンション管理業協会認定資格)・管理業務主任者(国家資格)資格者で、奈良県初、大阪府堺市初かつ唯一のプロナーズ認定者