「高圧一括受電」、既存マンションの導入実績は昨年12月時点で約3900棟・約33万戸ー。3月27日に開かれた資源エネルギー丁の総合資源エネルギー調査会電力・ガス基本政策小委員会(小委員長=山内弘隆・一橋大学大学院教授)で提示された、高圧一括受電事業者17社を対象に行った実態調査結果で、こんなデータが示された。マンションにおける、各社の電気料金の水準も調べている。(2019年3月25日付・第1100号に関係記事)
 調査は、経済産業省が2016年1月に策定した「電力の小売営業に関する指針」を、高圧一括受電事業者が順守しているかどうか確認するのが目的。ホームページで確認できた17事業者を対象にした。
 この日の委員会では料金その他供給条件の説明・契約締結前後の書面交付・苦情や問い合わせ対応などについての順守状況に加え、電気料金の水準や供給実績といった調査結果データも示された。
 17事業者の電気料金の水準は上表(略)の通り。共用部分・専有部分の単価設定状況をまとめている。共用部分はおおむね大手電力会社の標準電気料金メニュー単価から0~55%、専有部分は同様に0~24%程度割引されている。総じて共用部分の方が専有部分と比べて割引率が高く、また共用部分の割引率が高いケースは、やや専有部分の割引率が低くなる傾向があった。
 昨年12月時点のマンションにおける高圧一括受電導入状況を、下表に示した。約670棟・約65万戸に導入されており、このうち既存マンションは約3900棟・33万戸で、棟数ベースでは全体の58.2%と、いずれも過半数に達している。グラフ(略)は17社のサービス提供エリアと事業者シェア。2社で5割強を占めていた。
 「電力の小売営業に関する指針」の順守については、「供給条件の説明」では説明しなければならない21項目のうち、6項目に関して「説明していない」と答えた業者が1、2社あった。「契約電力や契約電流の定めがある場合にはその値または決定方法」「供給電圧および周波数」などの項目で「未実施」とする業者が2社あった。
 「契約締結前後の書面交付」でも、「供給条件の説明」と同じ内容の21項目について書面を交付する義務がある。
 「未実施」が最も多かったのは、契約締結後の書面交付における「一括受電事業者からの申し出による一括受電サービス契約の変更や解除に関する条件や内容など」。17社中7社が書面を交付していなかった。
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 委員会では村松久美子委員が「どういった点に不満があって、どういったところに満足を感じているのかは消費者に聞いてみないとわからないと思う」と述べ、事務局に消費者の声を聞けないかと尋ねた。
 事務方は事業者・消費者双方に「どうやって公平に情報を取るのかが可能なのかも含め考えていきたい」と答えた。

以上、マンション管理新聞第1102号より。

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投稿者プロフィール

福井 英樹
福井 英樹福井英樹マンション管理総合事務所 代表
マンション管理士(国家資格)・宅地建物取引士(国家資格)・区分所有管理士(マンション管理業協会認定資格で、管理業務主任者の上位資格)・マンション維持修繕技術者(マンション管理業協会認定資格)・管理業務主任者(国家資格)資格者で、奈良県初、大阪府堺市初かつ唯一のプロナーズ認定者