衆院国土交通委員会は5月7日、区分所有法・マンション管理適正化法などの改正法案の実質審議に入った。
管理会社の利益相反で中野洋昌国交相は、工事発注プロセスの透明化確保に向け、理事会方式でも管理会社、関連会社が工事を受注する場合や管理会社が工事を受注せず業者選定補助などを行う場合でも費用の内訳・積算根拠を説明することが望ましい旨周知を図ると述べた。
管理業者管理者方式では中川康洋氏(公明)が「自己取引でも複数社への見積もりを行うとか積算根拠の提示を行うなど居住者に対して信頼性、安心感を高める手法を盛り込むべきではないか」とし、見解を求めた。
平田研・不動産・建設経済局長は「改正法案では管理業者が自社、関連会社との取引を行う場合、総会決議に先立ち区分所有者に対して取引相手や取引内容等を事前説明することを義務付け、管理会社が義務を適切に履行しない場合には業務停止命令等の措置を講じることとしている」と答弁。
その上で「取引金額やその積算根拠、相見積もりの内容、相見積もりを取らなかった場合にはその理由などについても管理業者が区分所有者に対して事前説明をすべきと考えている」とし、これらを「事前説明事項として省令で予定」だと述べた。
管理不全共用部分管理人 マンション管理士「あり得る」
改正法で創設が予定される財産管理制度では、管理不全共用部分管理人として「マンション管理士を管理人として選定することが適切な管理を実現する上で有効ではないか」と言及。
内野宗輝・法務省大臣官房審議官(民事局担当)は「どのような者を管理人として選任するかは裁判所が管理人の行う具体的な職務内容を勘案して判断する」と答弁。
管理組合の運営や建物構造上の技術的問題等に対応することが必要になる事案では、そうした問題に知見があるマンション管理士を選任することもあり得る、と述べた。
共用部分等に係る損害賠償請求権については阿部弘樹氏(維新)、西岡秀子(国民民主)らが言及。
西岡氏は旧区分所有者が「別段の意思表示」をした場合における問題点などを指摘し見解を求めた。
答弁した内野法務省大臣官房審議官は管理規約または総会の決議による対応を提示。
∇旧区分所有者は「別段の意思表示」をすることができないものとする∇旧区分所有者は共用部分について生じた損害賠償金について個別に受領することはできず管理者が代理受領した損害賠償金は建物の瑕疵の修補のために用いられるものとするーことが可能、と説明した。
阿部氏は規約による対応を批判。瑕疵の「完全な修復ができなくなりはしないか」と疑問を呈した。
規約変更以前に区分所有関係から離脱した区分所有者には拘束が及ばない点について、内野大臣官房審議官は「場合によると瑕疵修補するための費用が足りないということが起きうる」と答弁。
こういったケースでは「いったん現区分所有者が瑕疵の修補のための費用を負担して修補されることが起こりうる」とし、その費用回収については「現区分所有者が旧区分所有者に対して共用部分の瑕疵に基づく損害賠償請求権がある」とし求償を行うことで「全体の負担の衡平が図られていくものと考えている」と述べた。
以上、マンション管理新聞第1302号より
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投稿者プロフィール

- 福井英樹マンション管理総合事務所 代表
- マンション管理士(国家資格)・宅地建物取引士(国家資格)・区分所有管理士(マンション管理業協会認定資格で、管理業務主任者の上位資格)・マンション維持修繕技術者(マンション管理業協会認定資格)・管理業務主任者(国家資格)資格者で、奈良県初、大阪府堺市初かつ唯一のプロナーズ認定者
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