理事会に配偶者が常態的に出席しても法的に問題ないですか?福井英樹区分所有管理士・マンション管理士
理事会に役員の配偶者が常態的に出席されているケースが多くの管理組合で見受けられますが、果たして認められるものでしょうのか?
民法第761条(日常家事債務の連帯責任)、同第110条(権限外の行為の表見代理)を類推適用、具体的には、当該条項の趣旨を類推適用(具体的な日常家事には属さないが、外見上は日常家事に見える事項について夫婦の一方が第三者と法律行為をしたときは相手方においてその行為が当該夫婦の日常の家事に関する法律行為の範囲に属すると信ずるにつき正当の理由があるときに限り、第110条の趣旨を類推適用すべきである(判例))して、認められるものと解することも可能ですが、理事の職務は、在任期間中に理事会で取り上げられるさまざまな議題や問題の内容を検討・判断し、管理組合としての方針・意思を決定し、当該包括的事項を処理できる人として、総会で組合員から信頼され、理事として選任されているわけですから、やはり、紛争予防措置として、規約を改正しておくに越したことはありません。
福井英樹が参画している(一社)日本マンション管理士会連合会大阪府会の判例研究会では、標準管理規約53条第2項に加筆修正しております。
裁判所の判断
総会決議である「管理規約」において、理事会に出席できない場合の代理出席の規定を定めていれば、有効である。
理事会への出席のみならず、理事会での議決権の行使の代理出席を許すことを定めたものと解することができる。
代理出席の各要件に基づいて認めるものであるから、この条項が管理組合の理事への信任関係を害するものということはできない。
↓53条第2項に具体の加筆修正
第53条 理事会の会議は、理事の半数以上が出席しなければ開くことができず、その議事は出席理事の過半数で決する。
2 理事に事故があり、又はやむを得ない事情があるために理事会に出席できない場合は、その配偶者又は同居の一親等の親族に限り、代理出席することができる。
3 議事録については、第49条(第6項を除く。)の規定を準用する。ただし、第49条第3項中「総会に出席した組合員」とあるのは「理事会に出席した理事」と読み替えるものとする。
外壁材、1割が落下の恐れ 国交省調査
国交省調査は9月27日、建築防災週間における既存建築物等各種調査結果を発表。2013年3月上旬、地方公共団体が建物所有者に報告を求める形で、吹き付けアスベスト対策、窓ガラス地震対策、外壁材落下防止対策、広告板落下防止対策状況を発表した。築後約10年以上の避難路沿道建築物等でタイル等の外壁材落下の恐れありとされたのは、調査報告された建物の9.9%に当たる1369棟。築後約10年以上、避難路沿道に立地し外壁に広告板が設置されている建物では、1703棟(同2.9%)が落下の恐れありとされた。同省では建物所有者に適切な対応を指導するよう地方公共団体に要請する方針。
マン管新聞第919号より。
どんな時にやりがいを感じる? 理事会に信頼されていると感じる時 (一社)マンション管理業協会
(一社)マンション管理業協会が10月1日に発表した『マンション管理業の実態調査 調査結果報告書』でフロントマンが業務上でのやりがいを感じるのは「理事会役員に信頼されていると感じる時が87.8%で最も多く、上司に実力を評価される社内評価を大幅に上回った。なお、一人当たり担当管理組合数は約3割が15組合以上という結果が発表されている。労働環境的にも10組合程度が妥当だとされる中で、福井英樹マンション管理士も管理会社のフロントマンの担当数は10組合以上となると、まともな管理業務は不可能と考えております。理想は一ケタ台。今後もフロントとして働き続けるために必要なことは「業務負担の軽減」が73.2%でトップ。フロントマンの労働条件の問題が浮上している。
マン管新聞第919号より。
居住用マンションを目指すなら例外を記さないことが重要。 福井英樹マンション管理士・区分所有管理士
最高裁H9.3.27判決研究事例
福井英樹マンション管理士・区分所有管理士が参画する(一社)日本マンション管理士会連合会大阪府会の「判例研究会」では標準管理規約12条の効力の限界を研究材料とし、紛争予防措置として当該12条に2項、3項を付しました。
裁判所の判断:管理規約において、居住以外の飲食店等の用途に供してはならない旨の定めしか存在しなかった場合、屋内駐車場として建築、分譲された専有部分が事務所に改装された後の転得者(特定承継人)に対しては、分譲時に他の用途に供してはいけない旨の合意が存したとしても、拘束力を及ぼすものとは解することができない。専有部分の使用方法等につき、特定承継人をも拘束し得る制約条項を設けるためには、規約又は集会決議によって明記しておくべき。
(専有部分の用途)
第12条 区分所有者は、専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。
2 前項にかかわらず、住戸部分を小規模な事務所兼用住宅等の居住環境を阻害しない程度の用途に供するもので、苦情が生じないものであれば可とする。
3 専有部分の使用において、次に掲げる用途に供することは、いかなる状況においても許されない。消費者金融、手形割引等の金融業事務所、暴力団事務所、政治結社事務所、宗教団体の事務所又は施設、風俗営業、その他良好な居住環境を阻害する用途
半沢の出向辞令は、左遷ではありません。福井英樹の独り言。
出向させる、たかだか次長級レベルの人事辞令をわざわざ頭取室に呼びつけすることはありません。半沢を頭取室に迎え入れるときの頭取の温かい感謝の表情を読み取りましたか?それに頭取が「ぜひ君にはこの辞令を受け入れてもらいたい。」と丁重に申し入れています。
これは出向先で、従来から暗躍している不正を本社ではどうすることもできず、手を焼いている矢先、半沢なら、それを是正することができると頭取が考えたと推測できます。続編がますます楽しみになってきました。「倍返し」はまだまだ続きますよ!刑法にも抵触する不正をどうどうとしている悪人の方、5年以下若しくは10年以下の懲役刑が待っていますよ!期待してください!
総会で決議された大規模修繕工事の実施を理事会の裁量で一部を保留した正当性 福井マンション管理士・区分所有管理士
福井英樹マンション管理士が参画する(一社)日本マンション管理士会連合会大阪府会の「判例研究会」では東京高裁H24.3.28判決を教材判例とし、提案として、標準管理規約21条2項の一部加筆、3項を追加しております。
正規の手続きを経て、管理組合が大規模修繕工事を実施したが、特定の区分所有者(1階店舗)が規約違反等の妨害をしたため、この店舗前付近の共用部分のみ工事をしなかった。総会で決議された大規模修繕工事の実施を理事会の判断で保留した点の正当性。
→工事完了後、当該実施しなかった部分が極端にみすぼらしく取り残された状態となっており、当該工事妨害をした区分所有者が理事らの債務不履行、不法行為により特別な損害が発生していると損害賠償を求めて訴訟したもの。
裁判所の判断
総会決議事項をすべて執行しなければならないと解すると、共同の利益を守り共用部分の管理を行う理事会が、かえって規約や区分所有法に違反する行為や区分所有者共同の利益を害する行為に及ぶことになってしまう。以上から、理事会は執行が義務付けられたものではなく、執行する権限が与えられているというべきであり、実施に当たっては一定の裁量が認められているというべきである。
(敷地及び共用部分等の管理)
第21条 敷地及び共用部分の管理については、管理組合がその責任と負担においてこれをこれを行うものとする。ただし、バルコニー等のうち、通常の使用に伴うものについては、専用使用権を有する者がその責任と負担においてこれを行わなければならない。
2専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分あるいは管理を共用部分の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行うことができる。
3前2項の管理行為が区分所有者又は占有者に阻害された場合は、阻害した区分所有者又は占有者は責任と負担を負わなければならない。理事長は理事会決議を経て当該阻害部分を共同の利益の為の管理を行うことができる。当該阻害部分の管理等を管理組合が行う時は、その管理等のため必要となる費用等は阻害した区分所有者又は占有者に請求するものとする。
と標準管理規約に加筆、修正してみました。
「59条競売請求できない。」判例から学ぶ管理規約 福井英樹マンション管理士・区分所有管理士
福井英樹マンション管理士が参画する(一社)日本マンション管理士会連合会大阪府会の「判例研究会」教材判例(最高裁H23.10-11判決)
概要:多額の未払い管理費につき、最終手段として59条競売を請求し、認容判決を得たが、判決確定前に持ち分の一部を第三者に譲渡。
裁判所の判断:第三者が関係者に加わった時、同じことを繰り返すとは「その譲受人がこの様な属性を有しているとは、当然には言えない」以上、第三者を含んだ相手方に対しては、59条競売を申し立てることは出来ない。従って、新たな第三者を(関係者)も含んだ別訴を提起すべきである。
→これでは、単に繰り返すだけであり、問題の解決が図れない。区分所有法57,58、59条に及ぶ場合は、留意点を明文化しておく。
わが判例研究会では、標準管理規約第66条に第二項を付しました。 第66条 区分所有者又は占有者が建物保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、区分所有法第57条から第60条までの規定に基づき必要な措置をとることができる。
2 区分所有法第59条(区分所有権の競売の請求)に基づく侵害行為の排除という形式的競売であっても、譲受人(当該共有持分の譲受人含む)は、前区分所有者の債務を引き継ぐものとし、滞納管理費、滞納積立金及び遅延損害金その他債務を落札時に速やかに管理組合に支払わなければならない。
当該規約がどれほどの効を奏するかは別にして、少なくとも裁判官等の心象に少なからず影響を与えるものと推測します。なお、上記債務を引き継ぐ証及び管理規約の遵守を証する為に誓約書を提出しなければならないものとしておかなければならないでしょう。
地域コミュニティーにも配慮した居住者間のコミュニティー形成の費用とは?福井マンション管理士・区分所有管理士
標準管理規約第27条第10項に、小職も参画する(一社)日本マンション管理士会連合会大阪府会「判例研究会」では、提案として、付則をつけております。『管理組合は、当該マンション内自治会並びに周辺自治会への参加は個人参加とし、管理費からは充当できないものとする。但し、管理組合として当該マンション内自治会並びに周辺自治会への参画が、居住者の社会生活のコミュニティー形成に寄与し、委託する業務の対価、監査方法に蓋然性が認められる場合は、この限りではない。』
として、あいまいな表現を排除し、より具体の表現で、管理組合の地域コミュニティー形成への参画に対して、ポジティブな表現をとりいれております。
なお、来る10月19日に千葉・浦安で当該「コミュニティー」をテーマにシンポジウムが開かれる。マンション管理の主要4団体(一般社団法人日本マンション学会、NPO法人全国マンション管理組合連合会、一般社団法人マンション管理士会連合会、一般社団法人マンション管理業協会)が参加し、上記コミュニティーの必要性の是非や適切な法制度・政策について議論する。共同提言も予定しているとのこと。小林秀樹日本マンション学会会長、山本育三全管連会長、親泊哲日管連会長、山根弘美管理協理事長の4氏が基調講演する。また、鎌野邦樹日本マンション学会副会長も参加し、講演者4氏とコミュニティーの法的解釈を踏まえて意見交換する。主催・共催団体の会員・賛助会員は参加無料。非会員は一名1000円。定員300名。
申し込みはfax03-5294-7326または、メールjimu@jicl.or.jp
問い合わせは事務局03-6206-4668
大規模修繕工事を理由に振り込め詐欺 (一社)マンション管理業協会
東京都内のマンションの区分所有者に8月下旬ごろ、大規模修繕工事費用の振り込め詐欺とみられる電話がかかってきたことが分かった。会員から報告を受けた一般社団法人マンション管理業協会(山根弘美理事長)によれば、実被害はなかったとのこと。当該マンションでは7月に大規模修繕をおえていた。電話をかけてきた人物は、発注金額よりも数百万円オーバーしたので追加金額を払ってほしいなどと話していた。具体的にどの工事がオーバーしたのか、また、具体的支払先等の話はなかった。不審に思った当該区分所有者が管理会社に連絡して発覚。管理協は、「管理組合のお金を個人の一存で支払うことは絶対ありません。今回の件は稚拙で実現性は低いが、会員には注意を呼び掛けている」と話す。本件のように大規模修繕工事に絡めた案件は、これまでにないもの。
大規模修繕のアフター保証、7年に延長 長谷工リフォーム
従前の5年の外装塗装工事とシーリング工事を7年に、同2年の鉄部塗装工事を3年に、それぞれ延長する。延長の伴う工事費の増加はない。引き渡しの際に保証期間延長保証書を発行する。希望住戸には建物診断の専門チームが訪問して、アルミサッシの・網戸の開閉および建てつけ調整。玄関ドア・キッチン・洗面ドアの開閉調整、水栓からの水漏れ点検を行う。今後、長谷工が設計・施工した築10年程度の分譲マンションを中心に提案していく。
