今回は、管理費等の滞納問題に関する新たな取り組みをビジネスにしている会社を見つけましたのでご紹介いたします。

私は、マンションにおける管理費等の滞納は、区分所有者としての重大な義務違反であり、管理組合の運営に重大な支障をきたすということを常に言い続けています。
また、管理費等の滞納に対しては管理組合(理事会)が早めにきちんとした対応をとるべきであるということをセミナー等ではいつも訴えています。

当初はやむを得ない事情で滞納してしまった僅かな金額が、払わないでも大丈夫という意識に変わり、それが長い間続き蓄積してしまうと、それこそ払いたくても簡単には払えない、本当に厳しい状況になってしまうからです。

悪質なケースを除き、滞納するには様々な事情があり、出来る限り何とか配慮したいと思う反面、昨今、住宅ローン破綻などという言葉を見聞きしますが、長期的に厳しい見通しであれば、早めに任意売却する方がご本人にとってベストな場合もあるのではないかと思います。

しかし、そうは言っても、なかなか個々の事情に深入りすることは難しいですし、いきなり強く当たることに抵抗があるのも当然のことだと思います。

一方で、管理費等の滞納に関する相談事例も結構多く承りますし、国土交通省が実施した「平成25年度マンション総合調査」では、「3か月以上の滞納がある。」と回答したマンションは37%です。
マンション総合調査は、無作為に抽出した全国のマンションに郵送形式でアンケートを送り、それに回答してもらうという方法をとっています。具体的な数字を上げると、3,643の管理組合に対してアンケートを実施し、2,324(回収率63.8%)の管理組合から回答を得て集計しています。
アンケートの内容は多岐にわたるとともに、結構細かなところまで聞いています。
ですから、マンション総合調査に回答をよこした管理組合はそれなりにレベルが高い管理組合であると考えています。
そのような中でも37%の管理組合において3か月以上の滞納があるということはアンケートに参加していない他のマンションも含めた全国平均ではもっと多くの割合で滞納問題を抱えているのではないかと感じています。

滞納問題が厄介な理由はいくつか考えられますが、私は以下のように考えています。

  • いったん解消しても短期間でまた再発させるケースも多く、なかなか根本的な解決にならないこと
  • 管理費等の請求は毎月発生するため、1か月の請求金額はさほど大きくなくても数カ月経つと結構な金額になり、滞納が継続するとその額がさらに増加していくこと
  • 滞納に対して支払の督促をする理事長や理事も、請求を受ける滞納区分所有者もそのマンションの住民同士であり、お互いに気まずくなるので問題解決のための話し合い等がやりにくいこと
  • 滞納の督促は管理会社の契約業務にはなっているけれど、一定範囲でしかやってくれないこと
  • 滞納問題の解決といえば弁護士に相談することを最初に考えるけれど、いわゆる「敷居が高い。」ということもあり、簡単に相談できないこと

等ではないかと思います。

以上の問題への取組みや解決のための煩わしさを解消して管理費の滞納が発生しないシステムを考えた会社が「管理費インシュア株式会社」です(重松マンション管理士事務所と管理費インシュア株式会社との間には何の利害関係等もなく、また、このシステムを推奨するものでもありません)。

私が理解している範囲では、以下のシステムです。

  1. 徴収するべき管理費等(管理費、修繕積立金、駐車場使用料等)に対する一定割合のフィーを支払えば滞納が発生したときにはその金額を滞納区分所有者に代わって代位弁済(立替払い)をしてくれるので、管理費等の収納率はいつでも100%となる。
  2. 区分所有者から管理組合に対する管理費等の支払は、従来通り口座振替等で行われ、その間に管理費インシュア株式会社が介在することはない。
  3. 滞納をした区分所有者に対する督促、話し合い等は管理費インシュア株式会社が行うため管理組合の負担はない。

以上のように、一定額のフィーを支払うことで、管理費等の滞納問題に対する管理組合の負担を解消しようというものです。
私自身まだまだ勉強不足なので、「保証」や「代位弁済」等について研究してみようと考えていますが、管理費等の滞納問題解消の有力な手法であるような気はしています。
詳細は管理費インシュア株式会社のホームページをご覧ください。

なお、繰り返しですが、重松マンション管理士事務所と管理費インシュア株式会社との間には、何の利害関係等もありませんのでご判断は皆様方ご自身でなさいますようお願いいたします。

投稿者プロフィール

重松 秀士
重松 秀士重松マンション管理士事務所 所長
プロナーズ理事(開発担当・監査人兼務)
マンション管理士、管理業務主任者、宅地建物取引主任者、ファイナンシャルプランナー、再開発プランナー、二級建築士、二級建築施工管理技士、建築設備検査資格者、甲種防火管理者、甲種危険物取扱者。
大手タイヤメーカー勤務を経て、平成15年2月マンション管理士として独立。財団法人マンション管理センターで嘱託社員として「マンションみらいネット」の立ち上げや「標準管理規約」第22条に対応する「開口部細則」の制定に従事。現在は約40件の管理組合と顧問契約を結びながら継続的な管理組合運営のサポートを行いつつ、大規模修繕工事や給排水管更新工事、管理コストの削減、管理費等の滞納、管理規約の改正等の個別コンサルティングを実施している。