給排水管更新工事のコンサルティングをご紹介します。

投稿日:2013年01月18日 作成者:重松 秀士
http://www.mansion-support.com/blog/2013/01/post_288.php

重松マンション管理士事務所では、現在2件の大規模な給排水管等の更新工事のコンサルティングをやっています。
今回は、当事務所スタッフの飯塚さんの自宅マンションで実施した給排水管の更新工事や、現在千葉市内でコンサルティング中の大型団地の給排水管等の更新工事を参考にしながら、給排水管等の改修工事の進め方等をご案内いたします。

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皆さんこんにちは。重松マンション管理士事務所の飯塚です。
竣工後の年数が30~35年のマンションが増えてくるに従い、最近は設備工事の中でも特に給水管・排水管の老朽化に伴う取替(更新)工事が目立つようになりました。
給排水管が劣化しますと、配管内面の腐食が進行すると共に詰まりや残存肉厚の減少も生じ、これが原因で赤水・滲み・滞流・臭気・漏水などが起こるようになり、日常生活に支障をきたすと共に重大な事態をもたらすことにもつながります。
 
そこで、今回は皆様に「給排水管改修工事」を実施する場合のポイントについてご説明をしたいと思いますが、まずは手始めに私の自宅マンションで実施した実際の工事事例のご紹介をさせて頂きます。

皆様ご存じの通り、給水管・排水管は共用部分と専有部分の両方に跨って一体となって存在している物ですから、工事を行う場合には必ず住戸内(専有部分)に立ち入らざるを得ないことになります。
ここが外壁等の大規模修繕工事と大きく異なる部分です。

次に掲げる写真はいずれも住戸内の工事風景です。

130109setsubi-01.JPG 天井内にある給水管を更新するため、天井を解体しているところです。
木くずや埃が飛散しないように養生をしっかり行っています。
室内の工事であるため、特にこういう気遣いが必要です。
130109setsubi-02.JPG 解体された天井部分です。
銀紙(アルミ箔)のようなもので包まれている部分が給水管で、今回はこれを交換します。私のマンションの場合は比較的珍しい事例ですが、住戸のタイプにより給水管が天井裏に配管されている部屋があります。あとの2本は、給湯管とガス管であり、まだ十分使えるとの調査結果に基づき、今回は交換しません。
130109setsubi-05.JPG 壁内にある排水竪管を更新するため、廊下の壁を解体しているところです。
竣工図と事前調査により、配管が通っている場所は分かっていますが、壁を解体するときはさすがに緊張します。
解体部分は、必要最小限にするように配慮しています。
130109setsubi-06.JPG 解体された壁部分です。
手前の太い管が排水竪管であり、これを新品と交換します。あとの2本は、給湯管とガス管なので今回は交換しません。
復旧工事がやりやすいように、解体した部分と解体しなかった部分の区切りはきれいに管理されています。
130109setsubi-07.JPG この住戸は給水管が洗面所の床下にあるタイプなので、洗面所床下に敷設されている給水管を更新するために床部分を解体したところです。
ここについても、家具が汚れないように周囲を丁寧にビニールで覆っています。
130109setsubi-03.JPG クローゼット内にある配水竪管を更新するため、クローゼット内部を解体しているところです。
こんな場所まで解体することになるのですね。。。。
130109setsubi-04.JPG 解体されたクローゼット部分です。手前の太い管が排水竪管であり、これを新品と交換します。
L字型の白い管は給湯管であり、これは今回交換しません。

なお、上記で解体された箇所は、給排水管改修工事後にいずれも元通りに修復されています。

上記の写真は給排水管改修工事の実際の模様ですが、ご覧になったように専有部分内の天井や壁、床を解体して工事を行うことになりますので、この点が屋上防水や外壁塗装等を主体とした大規模修繕工事とは大きく異なることになります。
そこで、次に、こういった室内工事が中心となる給排水管改修工事の進め方や留意点などをお伝えすることに致します。

1.給排水管改修工事の検討を始めるきっかけ

長期修繕計画において給排水管の修繕予定時期が迫って来たとか、住民から漏水事故の報告を耳にするようになったときには、その計画時期に向けて修繕を実施するかどうかの検討を始めることになります。

2.改修工事のための体制づくりから実際の工事開始までの流れ

この一連の流れについては、一般の大規模修繕工事の場合とほぼ同じであるため簡単に記述しますが、給排水管工事特有の事項については詳しい説明を付け加えます。

  1. 給排水管の改修工事を役員だけで対応するのは大変ですので、一般的には委員を募って「修繕委員会」を組織します。
  2. 相談相手としての専門家(マンション管理士や建築士等)を選びます。
  3. 給排水管の現在の劣化状況を把握するため、住民に対してアンケート調査を行うと共に、設計事務所に劣化診断を依頼します。(因みに劣化診断の方法には、「内視鏡調査」「超音波調査」「エックス線調査」「サンプリング(配管を切断・採取する方法)調査」があり、まさに人間の健康診断と同じです!)
  4. アンケート結果や劣化診断結果を修繕委員会及び理事会がまず理解して意見を纏めた上で、工事に関する住民の理解と協力を得るため、広報紙や報告会を用いて現在の状態や大まかな修繕時期、工事範囲等について住民に知らせ、全住民が情報を共有できるようにします。
  5. 劣化診断結果やアンケート結果を基に具体的な工事範囲は仕様を検討しますが、ここで配管工事特有の二つの工事方法について簡単にご説明します。
  6. イ.更生工事
    配管内の錆や汚れを除去した後、腐食防止用の樹脂を塗って配管の延命を図る工法

    ロ.更新工事
    現在の配管を撤去して新しい配管と取り換える工法

  7. 給排水管改修工事の場合、前記5の工事方法をどちらにするかということ以外に、予め決めておかなければならないことが次のように沢山あります。正に、これこそが専有部分内に立ち入って工事を行う給排水管改修工事の特徴と言えましょう。
    • 専有部分の工事を管理組合で行うことの確認
    • 修繕積立金を専有部分の工事に使うことの確認
    • 配管工事を「隠蔽方式」(給排水管を天井や壁、床下に隠し、目に見えなくする方式)「露出方式」(給排水管を天井や壁、床下に隠さないため、目に見えてしまう方式)のどちらにするか
    • 解体箇所の復旧工事の基準づくり(原状復帰か、現状復帰か、また、復旧範囲は解体した部分のみか、その周辺も含むかなど)
    • 内装解体復旧工事費及び流し台・トイレ・洗面所・ユニットバス等の機器脱着工事費を誰が負担するか
    • 工事日までに工事箇所の家具を片づけない住戸(高齢者・病弱者・独り暮らし・非協力者など)の対処方法
    • 空き家や住戸内立入り拒否宅、留守宅の対応をどうするか

  8. 修繕委員会では、前記6までの検討結果を踏まえて具体的な工事範囲・内容及び資金計画などの基本計画を作成し、理事会で決定すると共に必要に応じ総会決議を取ることになります。
  9. 次にその基本計画の内容を踏まえて、材料・工法・寸法などを具体的に決定するための詳細な設計(実施設計と言います)を設計事務所に依頼します。なお、実施設計の成果として得られる物は「設計図」「工事仕様書」「設計見積書」などです。

  10. 上記の設計図や工事仕様書などが完成しましたら、工事内容や工事方法、また、前記6で決めた施工基準や工事に関する注意点など諸々の詳細を住民に十分知って貰うための説明会(設計概要説明会)をこの段階で開催します。
  11. いよいよ施工会社の選定作業に入りますが、その手順は大規模修繕工事の場合と同様になりますので省略します。
  12. 総会決議を経て施工会社と契約を取り交わし、いよいよ工事が始まることになりますが、実際の工事を始める1ヶ月ほど前には必ず施工会社による住民説明会が行われます。この場で、工事全般に関する説明に加え、特に住戸内で行う工事の詳しい内容や注意点が説明されますので、聞き逃さないようにすることが大切です。
  13. 給排水管改修工事の場合は11の説明に加え、更に特徴的なことが一つあります。それは、後日、施工会社が全戸に立ち入って個々の住戸ごとに具体的な工事予定箇所の確認調査を行うと共に、工事上の注意事項(家具類の事前片付けや工事期間中の在宅、給水排水の禁止など)について説明をすることです。各住民は、この説明をよく聞いておき、きちんと実行・協力することがマンション全体の工事が円滑に行われるかどうかの鍵になるところですので、非常に重要な点です。
  14. そのため、9の設計概要説明会の開催通知を住民に配布するときには併せて次のような内容を記載した文書も配布しておくとよいと思います。
  • 設計概要説明会に必ず出席すること
  • 施工会社による工事説明会に必ず出席すること
  • 施工会社が住戸ごとに行う事前調査には必ず立ち会うこと
  • 指示された場所の家具類を工事日までに必ず片づけておくこと
  • 工事期間(5~6日)中には必ず在宅すること  
等々

 
以上、室内工事が中心となる給排水管改修工事の進め方や留意点などについてその特徴をお伝え致しましたが、如何だったでしょうか。

実は、この給排水管改修工事を実施するに当たって最も重要なことは、いかにして住民の理解や協力を得るか、ということです。
既にご紹介しましたように、全戸の専有部分に立入って工事を行うことになりますので、住民に工事の意義を理解して貰い、管理組合や施工会社からお願いされたことをきちんと実行して貰うなどの協力がないと工事はうまく進みません。

では、そのためにはどのようにすればよいのでしょうか?

答えは至って簡単です!

住民への広報や説明といった活動を丁寧に、かつ繰り返し行えばよいのです。
例えば以下のような項目が考えられます。

工事を行うに至った経緯

  • 住民からの苦情や要請に伴い検討を重ねてきたこと
  • 長期修繕計画に基づき計画を具体化させたこと
  • 資金計画の検討の経緯等

もし工事を行わないとどうなるのか

  • 頻繁に漏水事故が発生し、自分の住戸以外にもトラブルが及ぶこと
  • 自分の責任と負担で、修理や損害賠償を行わなければならない場合もあること
  • 管理不行き届きのマンションとして、資産価値が下落する可能性があること

実際の工事はどのように行うのか

  • 全体の工事期間と個人の住宅の工事期間
  • 工事の手順と更新する設備の範囲
  • 管理組合の負担で実施する工事と個人の希望により実施するオプション工事の区別

工事に関して発生する種々の問題について、管理組合としてはどう考え、どう対処する予定なのか

  • どうしても在宅できない住戸に対する鍵の預かりや長期不在住戸、連絡が取れない空家対策等
  • 断水時や排水制限時の不便への対応
  • 既にリフォーム工事を済ませている住戸に対する対応
  • オプション工事の代金の支払い方法

など、あげたら結構あります。
そして、それらに関する住民からの疑問や不安、質問に対して丁寧に答え、納得して貰うための努力と誠実さが理事会(修繕委員会)側にあれば住民は必ず理解してくださいます。

事例紹介

では、重松マンション管理士事務所で現在お手伝いしている団地の事例を差しさわりのない範囲でご紹介しましょう。
このマンション(団地)では、竣工後30年以上経過し、これまで時々漏水事故が発生していました。そのため、工事実施予定の3年程前に給排水管改修工事に向けた修繕委員会を立ち上げて工事実施の必要性等について調査と検討を重ねると共に、折に触れ、漏水事故発生の事実や委員会の活動状況を広報紙で住民に知らせてきました。
そして、いよいよ工事を実施すること事業計画として総会で承認され、設計事務所を選定し、改修工事のための設計作業が終了した時点で「設計概要説明会」を開催することにしました。
この「設計概要説明会」を開催しない管理組合も見受けられますが、住民に説明を尽くし理解を得るという視点からは実施したほうが良いと思います。

そのとき、理事会で作成した開催案内の文書のサンプルをご参照ください。

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説明会の1ヶ月近く前にこの文書を全戸配布すると共に各担当者が積極的に回収に動いた結果、出席申込者は実に92%という驚くべき数字となって現れました。
皆さんご承知のように、管理組合の総会ですと、どこの管理組合でも大体10%とか20%、多くても30%位というところが相場であることを考えますと、この92%という数字がとんでもない驚異的なものであることがお解り頂けると思います。

そして、次に、説明会の10日程前には「説明会資料配布のお知らせ」として、資料配布案内と共に説明会の開催趣旨や今後の予定を書いた文書及び工事終了までのスケジュール表を全戸配布しました。
住民に目前の「設計概要説明会」の意義を知って貰うと共に、その後の主な予定を予め具体的に知らせておくことで、工事実施に対する理解を更に深めて貰い、協力を得やすくするためです。

そして、いよいよ今月からは施工会社の募集・選定段階に入り、5月の通常総会でその承認を得た後、6月以降、全住民向けの工事説明会 ~ 全戸戸別訪問 ~ 工事着手 ~ 工事完了という経過を辿ることになりますが、これまでの住民の皆さんの様子からして工事はきっと大成功のうちに終了するものと思われます。

全住民が工事の目的やその具体的な内容を知り、関係者がお願いすることをきちんと理解し協力をする姿勢が窺える限り、特に何事もなく工事は良い結果を伴って終了すると確信できます。

皆さまの住むマンションをいつまでも良好・快適な状態に保つために、この一連のご説明・ご紹介のページがお役に立つことを願っています。


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