簡易スカイチェアーによる目視、打診調査の立ち合いをしました【大規模修繕工事】

こんにちは マンション管理士の横倉啓子です。

重松マンション管理士事務所のヘッドオフィスが管理組合サイドの大規模修繕工事コンサルタントとして契約しているあるマンションは、現在設計管理方式で進めています。
臨時総会を開催して設計会社を決め、先日建物調査の簡易スカイチェアーによる目視、打検調査を実施したので、私が立ち合いに行ってきました。2013年の7月は連日の猛暑でしたが、調査の日は、暑くなく雨にも降られずほどよい気候で調査が実施できました。

「自分の命がかかっていますし自己責任で準備します。」

作業前、今回の簡易スカイチェアーによる目視、打検調査を担当された方に直接お話を伺うことができましたので、簡単にご紹介いたします。

「一番高い建物の作業は何階でしたか?」→「20階からです。」

「作業準備は必ずご自分でなさるのですか?」→「はい。必ず100%!自分で準備します。他の人に絶対に任せたりしません。自分の命がかかっていますし自己責任で準備します。」

「この100%ご自分で準備されても今までアクシデントはなかったですか?」→「いきなり強風が吹いてきて・・・自分で操作不能になった時は、ほんとに怖かったです。」

・・・当事者でない第三者だと、ついつい、めったに事故が起こらない=安全、のような錯覚を起こしてしまいますが、『完璧な自己責任の仕事をする』『自分の身(命)は自分の責任で守る。』を実践している方々の言葉を直接聞くと、決して安全なのではないと再認識させられます・・・

大規模修繕工事そのものも危険な作業が伴いますが、快適なマンションライフは、こうした危険な作業に従事される方々の上に成り立っていることをその都度実感いたします。

簡易スカイチェアーによる目視、打検調査の様子

屋上での準備から地面に着地するまで55分かかりました。

調査結果は後述しますが、実際にどのように調査を行っているのか、まずは調査の一部始終をご覧ください。

▼道具を持って屋上へ向かう様子(左)と担当者と図面のチェックの様子(中央)
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▼高所調査の道具
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▼丸環に親綱ロープを通している様子
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屋上に設置している丸環にしっかり親綱ロープを通し張り、その親綱に安全帯を掛けて取り付けます。丸環のサイズφ50で耐荷重200kgです。数個に親綱を張れば荷重は分散されます。

▼ロープ(左)とスカイチェアー(中央)
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▼命をつなぐ結び目(左)。避雷針につなげて(中央)、スカイチェアーのセッティング(右)IMGP3681  IMGP3683  IMGP3684

▼スカイチェアーが繋がりました。風にユラユラ揺れています。
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そして・・・緊張の瞬間!!
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降りました! 慎重におしりをスカイチェアーに乗せて、ゆっくり・・・座れました。
大丈夫だろうと思いながらも、やっぱり力が入ってしまいました・・・

▼ロープ操作の微調整をしています
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▼打診棒でタイルの浮きや亀裂を調べ(左)、打検調査後浮き亀裂のメモをしています(右)IMGP3695  IMGP3697

▼打検→メモの繰り返しを最上階から実施しています
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▼調査を終え無事着地しました
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タイルの補修等の実数精算項目の予想数量は、どのようにして算出し、精算数量の確定はどのようにして行うのでしょうか?

設計の段階では、足場をかけての詳細な調査ができないため、タイルの浮きやひび割れなどの数量は、どうしても歩行(打診棒が届く範囲)や目視できる範囲の箇所を調査した結果で想定しなければなりません。設計事務所の考え方にもよりますが、第1回目の大規模修繕工事の場合、タイルの総面積の0.5%~1%程度の数字を入れて見積(予算金額)を算出することが多いようです。そして、この工事項目は、契約上は「精算工事」といわれ、実際に施工した数量に応じて工事完了後に増減精算を行い、費用を支払うことが一般的です。

施工会社が決まり工事が始まると、壁全面に足場をかけて全てのタイル面をチェックし、実際に浮いている個所やひび割れのある個所を調べて枚数を確認することになります。ところが、その数量(実数)が当初の設計数量を大幅に超えているときは問題となることがあります。東日本大震災以降に大規模修繕工事を行うマンションでは、それ以前に工事をしたマンションと比較してその傾向が強いようです。(重松マンション管理士事務所の実績です。)

一般的には、大規模修繕工事の予算を総会で承認してもらう際には、工事金額以外に、総工事費の5~10%の金額を予備費として計上します。上記で述べた数量の増加や、やむを得ない仕様の変更等不測の事態に対応できるようにしておきます。しかし、タイルの浮きやひび割れが当初の予想を大幅に上回ったときは、総会で承認してもらった予備費を充当してもカバーできないことがあります。

そうなった場合には、

① 臨時総会を開催して予算の追加措置を講じる。

・修繕積立金等、資金に余裕がある場合は可能です。

② 臨時総会を開催して金融機関から資金を融資してもらう手続きを行う。

・資金に余裕がない場合はこのような方法もあり得ますが、条件次第では融資を受けられない場合もあります。
・また、融資が受けられることが確定するまでの間、工事を進められないことにもなりますので、リスクが高すぎてお勧めできません。

③ 修繕の仕様を変更したリ、優先度の低い他の工事を取りやめたり縮小したりして、何とか費用を捻出する。

・資金不足の場合は、この方法を取らざるを得ません。
・対応や提案をする、設計事務所や工事会社も大変ですが、理事会や修繕委員会の負担も相当なものになります。

設計の段階で建物調査の際に簡易スカイチェアーを使用し、歩行や目視に加え、より多くの部位の打検を行うことにより、設計数量と実際のタイルの浮き等の数量の差を少なくすることが可能となれば、前述のようなトラブルを回避することができます。このような調査を積極的に取り入れている設計事務所はまだ多くないようですが、さほど金額がかかるわけではありませんので、今後は重松マンション管理士事務所ヘッドオフィスでも積極的に取り入れていこうと考えています。

簡易スカイチェアーによる目視、打検調査の結果

簡易スカイチェアーによる打検結果タイル劣化数量の総合計です。

1)45三丁掛け磁器質タイル(14階から3階まで)

⇒打検枚数は34,807枚 浮き559枚(1.61%) ひび割れ430枚(1.24%)

2)二丁掛せっ器質タイル(5階から1階)

⇒打検枚数は5,866枚 浮き246枚(4.19%) ひび割れ93枚(1.59%)

3)調査結果からわかる劣化の度合い

一般的な浮きや亀裂0.5%~1%以上という数字を比較すると、45三丁掛け磁器質タイルは浮き1.61%、二丁掛せっ器質タイル4.19%の結果から劣化が多いことが予想できることがわかりました。


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