先日、大規模修繕工事会社(業者)選定に伴う現地調査の立ち会いをしてきましたが、重松マンション管理士事務所では、大規模修繕工事のコンサルティング業務を行うときの特徴として、工事会社選定の際に「現場説明会(いわゆる「現説」)」を行うことは原則としてありません。

今回は、大規模修繕工事会社(業者)選定時のポイントの一つとして、現場説明会を行わない理由とその代替プロセスをご紹介いたします。

なぜ現場説明会をしないのか?

大規模修繕工事における現場説明会とは、現場で、工事仕様書の概要や現地を確認しなければ理解しにくい内容等を説明したり、見積を行う際の注意事項(見積心得)を説明したりする会です。
応募会社の数が多いときは、時間帯を変えたり複数の日にちをかけて実施することもありますが、基本的にはライバル同士の工事会社が現場で一堂に会することになります。

大規模修繕工事会社の営業担当者はお互いが顔見知りな場合も多く、今回の物件にはどの会社が参加しているのかがほとんどわかってしまう可能性があります。
もちろん、例え顔見知りでなくても、そうした場があれば、その場で把握することが可能になります。

公共事業の一般競争入札でも、現在は現場説明会を開かないケースが多いと聞きますが、こうした場があると業界特有の「談合」がやりやすくなり、管理組合が大きな不利益をこうむることにもなりかねません。
※大規模修繕工事の談合に関しては、過去の記事に詳しく書かせていただいておりますので、そちらをご参照ください。

全ての工事会社がそういう体質なわけではありませんが、重松マンション管理士事務所が大規模修繕工事のコンサルタントとして関与する場合に「現説」を行わないのは以上のような理由によります。

現地説明会の代わりに行う「現場調査」

当事務所では、現説を行わない代わりに、それぞれ時間帯を変えて各社に現場を確認(調査)していただくことにしています。

調査時間は、マンションの規模や工事の内容にもよりますが、1社当たりおおよそ1時間から1時間半です。
調査する場所は屋上、各階の廊下、階段、外構(外回り)などになりますが、配布している仕様書では分かりにくい個所なども調査確認の対象となります。
また、現地確認の際には、工事会社に対しては、工事予算以外のできるだけ多くの情報を与えて、精度の高い見積もりをお願いしたいため、過去の修繕記録、前回の大規模修繕工事の資料、直近の建物調査報告書、長期修繕計画書などを閲覧できるように準備したりもします。

現場調査を行うメリット

調査に来る工事会社の方も、一人で来て簡単にさら~と済ませる会社や、下請けの工事会社を同行して念入りに調べていく会社など様々です。

現地調査を行うメリットには、前述の「談合防止」という観点も大きいのですが、このように、現地調査に取り組む姿勢を見るだけでも、どの工事会社がやる気があるかなどを判断できる場合もありますし、何より「精度の高い見積もり作成」や「提案(※必要があれば)」をして頂くのに必要なことだと思っています。

現場調査の様子

この日は、ご担当の管理組合理事さんと一緒に現地調査に立ち会いましたが、屋上にも一緒に上がりました。
余談ですが、当日は急に寒くなりましたが、空気がきれいで屋上からの眺めは最高でした。

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屋上から富士山の方向を眺めています。
この写真では富士山はよく見えませんが、、、
実は肉眼では、こんなにきれいな富士山が見えています。
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こちらは反対方向です。
建物と、空の輪郭がとてもきれいですが、正面のマンションをよく見てください。
左側に東京タワー、右側にはスカイツリーが見えてます。
寒かったけれど、とても気持ち良かったですよ。

投稿者プロフィール

重松 秀士
重松 秀士重松マンション管理士事務所 所長
プロナーズ理事(開発担当・監査人兼務)
マンション管理士、管理業務主任者、宅地建物取引主任者、ファイナンシャルプランナー、再開発プランナー、二級建築士、二級建築施工管理技士、建築設備検査資格者、甲種防火管理者、甲種危険物取扱者。
大手タイヤメーカー勤務を経て、平成15年2月マンション管理士として独立。財団法人マンション管理センターで嘱託社員として「マンションみらいネット」の立ち上げや「標準管理規約」第22条に対応する「開口部細則」の制定に従事。現在は約40件の管理組合と顧問契約を結びながら継続的な管理組合運営のサポートを行いつつ、大規模修繕工事や給排水管更新工事、管理コストの削減、管理費等の滞納、管理規約の改正等の個別コンサルティングを実施している。