川崎市 マンションの貯水槽  災害時応急給水施設として活用を検討

こんにちはマンション管理士の横倉啓子です。
神奈川新聞のWEB版に以下のような記事があったので引用します。
川崎市は20日の市議会本会議で、大規模マンションの貯水槽を、災害時に周辺住民が使える応急給水施設として活用していく方針を明らかにした。共産党の井口真美氏(多摩区)一般質問に答えた。
貯水槽から直接水を出し利用するには、盗水防止などの観点から水道メーターの設置がこれまで求められた。その場合、現行の仕組みでは加入金(通常の口径で15万7500円)と毎月の基本料金(8立方メートルまで556円)が発生。
マンション管理組合に負担を強いることになる。
井口氏は、応急給水施設として活用する貯水槽に限り、加入金と基本料金の徴収を免除するよう主張。民間の既存施設を有効活用して、災害時に備えるべきと指摘した。
市上下水道局の飛彈良一上下水道事業管理者は「自助、共助による飲料水確保の取り組みとして、本市の考え方に合致する。災害時に限って活用を可能とするよう検討したい」と述べ、前向きな姿勢を示した。
(以上引用ここまで)

災害が発生したら、公共の応急給水拠点施設だけでなく、民間の大規模マンションも協力して、貯水槽の水をマンション居住者以外の近隣住民に役立てようという意見です。非常時には地域住民との助け合いが必要になりますので、大切なことだとは思います。
しかし、分譲のマンションの場合には、区分所有法という法律の下で、マンションにおいて区分所有者の共同利益を増進し良好な住環境を確保するために、建物や設備を適切に管理や整備を行うこと、またそれらを行いやすく体制を整えることによって、トラブルの少ない暮らしやすい物的な環境を実現し維持することを最も重要な課題としています。

▼貯水槽                    ▼貯水槽内の水
IMGP2641      貯水槽内満水
分譲マンションの管理組合としていくつかの問題点や課題が発生します。

1.総会の決議が必要 
 管理組合はマンションの敷地や共用部分等の財産管理という目的をもって、建物や設備を適切に維持管理、整備しています。敷地や共用部分等の一部を、第三者(居住者以外の近隣住民)に使用させるには、管理組合として総会の決議が必要です。

2.事前のトラブル防止及び安全対策等の検討
 非常時において、平静でいられないことから混乱した不特定多数の人々が、マンション貯水槽の水を求め敷地内に入り込むとなども予想されます。管理組合では事前のトラブル防止及び安全対策等の検討が必要になります。

3.マンションの給水設備について…
 管理組合は日々清潔な飲料水を各戸に給水するために、区分所有者から管理費を集め、給水設備の点検、年に1回実施する受水槽の清掃、水質検査等の、維持管理をしています。
 一般的に貯水槽の大きさを決める場合に、1日の全体の使用料の1/2程度の容量とされていることを考慮する必要があります。
 災害時に貯水槽の飲料水をマンション居住者だけではなく近隣住民にも使用できるためには、多量の飲料水を蓄えていなければなりません。
 大規模マンションは居住者数も多くなり、居住者が必要とする飲料水の確保も大変になります。
 水道水は塩素等による滅菌が行われ、雑菌の発生が抑えられて送られてきますので、いつでも安心して利用することができます。
 通常の貯水槽では、1日2回内部の水が入れ替わるよう常に補給されます。残留する塩素濃度も維持されますが、災害時には補給が止まり、貯水槽の中に残った水だけになると、気温や貯水槽の汚れなどの外部要因によって塩素濃度は下がり、滅菌効果が弱くなってやがて飲料水に適さなくなる場合もあります。

4.「直結給水方式」の場合は…
 貯水槽は水道水を貯めて使うため、水温が上がって味が悪くなったり、使用料が減って水が長時間滞留して、塩素濃度が下がると滅菌効果が悪くなることから、最近では「直結給水方式」の普及・拡大を推進している自治体が有ります。
 貯水槽を廃止し、水道本管の水をそのまま各戸に給水しますので、常に新鮮な水を使うことができます。貯水槽を設置する必要がありません。そのため、維持管理(定期点検、清掃等)が必要ありません。
 しかし、災害が発生したら貯水槽が有りませんので水道が止まれば直ちに断水し、マンション居住者自身の飲料水確保が必要な事態になります。当然近隣住民に役立てることはできません。

▼水道管直結工事          ▼配管交換工事
⑤水道管直結工事  ①屋上配管工事  

※ 管理組合としての対応は… 
マンション居住者自身が自宅で備えるもの(飲料水等…)、安全対策のリスト等を作って周知を徹底することが必要です。

マンションの現状、管理組合の特性等を充分理解して、検討することを願います。


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