マンションコミュニティ研究会(廣田信子代表)は6月27日、東京・月島の月島区民会館で第19回フォーラムを開いた。今回のテーマは「マンションの終末期を考える」。参加者は定員の100人を超え、「マンションの終活」に対する関心の高さがうかがえた。
廣田代表は冒頭、「人の最後もマンションの最後も、タブー視せず実際に考えてみると問題点が整理でき、いろいろシミュレーションすることで選択肢や長寿命化の意義が立体的に見えてくるはず」と、フォーラムの趣旨を説明した。
当日は明海大学の小杉学准教授による「マンションにはどんな終わり方があるのか」、スペース・ユニオン代表の藤木亮介1級建築士による「終末期を定めた上で長期修繕計画を考えることの意味」、などの講演があった。
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小杉准教授はまず、「マンションの長寿命化」は、一般的に「建物の長寿命化」と認識されているが「管理組合の長寿命化」も含まれている、と指摘。マンションの「終わり」には、「建物の終わり」と「管理組合の終わり」の二つがある、との見方を示した。
その一方、この二つの「終わり」がタイミングよく「一緒に訪れるとは限らない」とも。
このため「建物の終わり」が来たときには建て替えを選択。「管理組合の終わり」が来たときには、管理不全に陥ることを防ぐ意味で、管理組合と建物を同時に終了させる手段である「土地・建物の売却」ができるよう、管理組合が「元気」なうちに準備しておく、といった、それぞれの終末期における活動例を挙げた。
スムーズな終末を迎える手法の一つとして小杉学准教授は、建替えや土地・建物の売却時期を数十年後に「仮終末」として設定し、「仮終末」までは健全な管理組合を確実に維持させる、「高経年期管理」を提案した。
仮終末期までに建替えや土地・建物売却等の事業準備や合意形成を進めておく。仮終末期が近付いたとき、建替えや売却の必要がなければ、仮終末の延長・再設定も可能だ、とした。
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藤木氏は「現在の長期修繕計画は、ほとんどの場合『永遠にマンションが持続すること』が前提でマンション終わりを見据えていない。終わりを見据えなくて良いのか」と問題提起を行った。
その上で、物理的・経済的にマンションが継続できなくなる「持続限界」と、「持続限界」が来る前に管理組合が自ら定めた適正なマンションの終わりの時期を指す「持続限度」について、築50年前後の実在するマンションをモデルに検討した長計例を報告した。
このマンションは80年を「持続限度」と想定、築78年で予定する6回目の大規模修繕は実施しないが、築80年までは修繕を放棄せず「維持」を続ける。
この場合、築68年以降は積立金の負担が大幅に減るが、藤木氏は「築80年時点での積立金残高を建替えや建物解体費用に流用できる」点から、マンション継続の可能性も見据え積立金の金額を維持するのが安全な計画だとした。
藤木氏は将来の積立金額の変化を勘案し、25年を超える「超長期修繕計画」の作成を提案。同計画で全体を見通し、積立金の支出がピークを迎える年代に備え、事前に積み立てていくことが望ましい、とした。
「建物の生涯を把握するために『終わり』の設定は有効」、。と締めくくった
投稿者プロフィール
- マンション管理士(国家資格)・宅地建物取引士(国家資格)・区分所有管理士(マンション管理業協会認定資格で、管理業務主任者の上位資格)・マンション維持修繕技術者(マンション管理業協会認定資格)・管理業務主任者(国家資格)資格者で、奈良県初、大阪府堺市初かつ唯一のプロナーズ認定者
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