一般社団法人日本マンション管理士会連合会(日管連、瀬下義浩会長)は7月8日、高松市の高松シンボルタワーで第18回合同研修会を開いた。担当者による香川県、高松市の施策紹介や改正区分所有法の解説など計8本の講演が行われた。

高松市の久川琢史・住宅政策課住宅政策係長は市のマンション施策を紹介した。

2023年の住宅・土地統計調査に基づく分譲マンションストックは推計で約1万7540戸。居住世帯のある住宅数の全体の約10%に上り、県庁所在地の中核市27市中7番目に位置すると報告した。

マンション管理適正化推進計画はおととし3月策定。市のマンション管理適正化推進指針に照らし、管理不全兆候にあるマンションの管理組合に行う助言・指導は24年度に始め、1件に対し実施した。

21年度に行った実態調査から、軽微な管理不全兆候がある築20以上の約20件を抽出、郵送や戸別訪問による追加調査を行ったところ1管理組合から反応があり助言・指導につながった。

内容は管理費・修繕積立金の区分経理ができていない、長期修繕計画未策定ーの2点。

大規模修繕工事は定期的に実施しており長計の必要性を感じていなかったというが、区分経理ができていない、また管理規約が古いまま、という点には課題感を持っていた。

今年度、まずは管理規約改正の支援を行っていく、と報告した。

今後は▽定期的かつ適確な実態調査▽管理不全マンションの助言・指導の推進▽セミナー開催、補助事業の創設など新たなマンション施策の検討ーに取り組む、とした。

     折田弁護士が基調講演「外部管理者」で注文も

折田弁護士は「改正区分所有法の概観」のタイトルで基調講演。改正法の解説に加え、法制化された管理業者管理方式、また外部管理者方式にも触れた。

管理上必要な場合に管理組合法人による多数決での区分所有権等の取得が認められた点について「買うことだけは認められたが、売却についてはかなり議論があったが今回の改正からは外されている」と指摘。

ただ取得できるのは「管理上必要な場合」と要件が付された点にも触れ、例えば競売物件を会議室目的で取得するのは問題ないが「買って売ろう」というケースは「今回の法改正では対象になってこないという問題がある」と述べた。

マンション管理士が管理者に就任する外部者管理者方式については「管理会社がそれぞれマンション管理士に(管理者就任を)お願いしてきているケースが相当増えてきている」と報告。

第三者のマンション管理士が管理士に就任することで独立性を強調して「『ウチは安全だ』ということで是非手伝って欲しい、と誘われることも現実にあると思う」と述べた。

その上で「管理会社から雇われれば管理会社との関係で見れば管理会社側の人間だと見られても仕方がない。その中で管理者としてどこまで独立してやっていけるのか。なかなか難しいということを踏まえてやってほしい」と注意を促した。

一般社団法人香川県マンション管理士会の石田雅浩副会長は、自身のマンションで理事長・理事として4年間活動し得られた成果などを報告した。

管理計画認定取得に際し行った長期修繕計画の見直しでは、あらかじめ▽工事周期を15年に設定▽給・排水管の更新は40年周期で設定▽物価変動費として年2%程度の物価上昇率を見込んだ工事費を計上ーなどの前提要件を設定し反映させた。

修繕積立金の見直しは2年かけて行った。

1年目は段階増額方式と均等積み立て方式の2案を作成し、両案の長期修繕計画での総会決議を得た。2年目は理事会で内容を精査しどちらが良いかをアンケートを実施。希望の多かった均等積み立て方式での長期修繕計画の総会承認を得、増額を決めた。

以上、マンション管理新聞第1309号より

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投稿者プロフィール

福井 英樹
福井 英樹福井英樹マンション管理総合事務所 代表
マンション管理士(国家資格)・宅地建物取引士(国家資格)・区分所有管理士(マンション管理業協会認定資格で、管理業務主任者の上位資格)・マンション維持修繕技術者(マンション管理業協会認定資格)・管理業務主任者(国家資格)資格者で、奈良県初、大阪府堺市初かつ唯一のプロナーズ認定者