管理業者が区分所有法上の管理者に就任する「第三者管理者方式」を採用するマンションが管理計画認定を受けるケースが出てきている。認定に際して一般的なマンションと異なる審査が行われるわけではないが、国が示した認定基準とは別に「独自基準」を設けている自治体の場合は扱いが異なることがある。
東京都板橋区は3月15日、同区小豆沢の「パークホームズ志村坂上ザテラス」(2021年築、54戸)の管理計画認定をおこなった。
「ザテラス」は、管理業者が管理者に就任する第三者管理者方式を採用している。管理者は三井不動産レジデンシャルサービス(本社東京)だ。
管理業者による第三者管理者方式では、区分所有者で構成する理事会が設置されないケースが多く「ザテラス」も理事会は設けられていない。
管理計画認定を取得するに当たり、国が示す認定基準では理事会の有無が問われることはないが、同区では「理事会の設置」を前提に「理事会が開催されており、議事録が作成され適正に保管されている」ことを求める。独自の基準を設けている。
申請時は、原則として直近の理事会議事録の写しを提出する決まりだ。理事会がない「ザテラス」は当然議事録の写しなど提出できないはずだが認定マンションとなった。基準をどうクリアしたのか。
区の担当者は「本来理事会がないと申請は通らない決まりだが、第三者管理者方式だったので、通常とは別の扱いをした」と話す。理事会がないから認定不可、とはならないようだ。
設置前提の板橋が認定 大田区・川口市は不可
「ザテラス」では、管理会社のフロント担当とは別の社員が管理者に就任しており、区分所有者が就任する監事と管理者が定期的な「打ち合わせ会」を開いていた。
この「打ち合わせ会」を「理事会と同等な組織」と解釈し、最終的に申請を通したという。
ただ「打ち合わせ会」がなかったとしても「何か代替策があるか相談することになると思う」(区担当者)。
「代替案があれば認定していく方向だし、何もなければ、認定に向けて(打ち合わせ会の設置など)代替案を初めていただく」というスタンスだ。
「要はマンションのために何がベストか、ということ。理事会がないということに関し、他の方法で第三者管理が安全・安心に実施できるなら(管理組合側からの)提案として検討していきたい」(同)
管理会社が管理者に就任し、理事会が設置されない第三者管理者方式については現在、留意事項などを示すガイドラインを国が改訂中だ。同区担当者はガイドラインの改訂案も参考にして「総合的な見地から判断した」と説明している。
「理事会の設置」を前提とした独自基準を設けている自治体は、他にもある。
東京都大田区は「理事会が開催されており、議事録が作成され適正に保管されていること」、埼玉県川口市は「管理規約において、理事会および集会の議事録の作成および集会の議事録の作成および保管について適切に定められて遵守されている」、といった基準を設けている。
大田区の基準は板橋区と同じだが、審査におけるスタンスは異なる。「『理事会が設置されている』という基準なので、それが全て。理事会がないマンションは第三者管理者方式かどうかにかかわらずお断りしている」(同区担当者)。
同じ基準でも扱いに違いが生じている形だが、管理計画認定制度は自治体が独自の基準を設けることを認めている。独自基準に対する解釈が自治体で異なっていてもあながち不思議ではない。
川口市も同様に「現時点では理事会がないと認定は難しい」とのスタンスだ。ただ現在ガイドラインの改訂作業が進められている点などから「状況を見た上で今後、「基準の内容や解釈を)修正していく可能性はある」と含みを持たせた。
国土交通省は自治体によって認定の可否が異なる点は「各自治体の判断に任せている。何とも言えない」と答えた。
以上、マンション管理新聞第1265号より
The post 第三者管理者方式導入物件『理事会なし』で判断に違い 独自基準 審査に幅 管理計画認定制度 first appeared on 福井英樹マンション管理士総合事務所.
投稿者プロフィール
- マンション管理士(国家資格)・宅地建物取引士(国家資格)・区分所有管理士(マンション管理業協会認定資格で、管理業務主任者の上位資格)・マンション維持修繕技術者(マンション管理業協会認定資格)・管理業務主任者(国家資格)資格者で、奈良県初、大阪府堺市初かつ唯一のプロナーズ認定者
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