一般社団法人マンション管理業協会(管理協)は12月7日、東京・水道橋の住宅金融支援機構本店すまい・るホールで「マン活トレンド発表会2018」を開いた。管理業における知見の共有などが目的で、開催は今年で3回目。当日は東京建物アメニティサポートの矢内良樹社長と同社企画部事業企画グループの丸山祐樹氏が新入社員の教育体制について、大和ライフネクストの石崎順子社長が社内で取り組む働き方改革などについて、それぞれ報告した。
当日は管理協会員社若手社員で構成する海外研修参加グループによるプレゼンテーションや、「マンションいい話コンテスト2018」管理会社編の公開最終審査・表彰式も行われた。
海外研修参加グループは「日本のマンション管理の未来像」と題し、中国・大連の管理と比較・考察した将来における日本の管理のあるべき姿に言及した。
同グループは、中国に比べ日本における管理者方式や第三者管理者方式は、区分所有者間の当事者意識や会計時の透明性などの面で優れていると指摘。これらの方式をさらに掘り下げた上で、そのデメリットを解消する「新・管理者方式」を提示した。
同方式における「管理者」は管理会社。リプレイス競争におけるダンピングや、フロントの担当物件の多さなどから長期的な課題に対応できないといった問題の解決を目的に、5年間という長期の管理委託契約締結を提案する。
管理会社の地位を向上させるとともに、良い人材を定着させる狙いもある。
「組合員では実質的な監査機能がほとんどない」現状を踏まえ、管理組合の監事はマンション管理士や監査法人の独占資格とするよう提案。「管理会社による利益相反も防げる」と、メリットを示した。
これにより良好な管理を実現できるため、区分所有者は今後、総会における意思決定のみに関与する立場となり、管理者と監事、区分所有者が「Win-Win-Win(トリプルウイン)」の関係を実現できる、と結論づけた。
こうした管理方式を国内に定着させるため、適正な法整備などに取り組むことで、「日本の管理は世界に誇れるものになるのでは」と分析している。
以上、マンション管理新聞第1091(2018年12月15/25日合併)号より。
現在の管理組合の監査は、区分所有者から選任された監事が実施するというのが一般的です。しかしながら、区分所有者も総会で選任される理事や監事も、マンションという建物の維持管理に関する専門知識も財産管理を行うための専門知識も持ち合わせていないのが現状です。
そのため、大半の管理組合は管理会社に業務を委託しており、監事の監査対象は、管理会社並びに理事会の業務執行状況と管理会社が作成する決算書になります。
つまり、専門知識が豊富な管理会社が実施した業務や決算書の適否を専門知識がない監事が監査するという仕組みが現在の一般的な管理組合の監査制度の実情です。
一方、マンションの高経年化による管理の困難化、マンションの大規模化や高層化による高度化に対応するため、平成28年3月、外部専門家を活用すべく、適正化指針において、外部専門家を活用する場合の留意事項が明記されると同時に標準管理規約も改正され、区分所有者以外の外部専門家が、役員や管理者に就任できることとする場合の規定例が整備されました。
さらに、平成29年6月に公表した「外部専門家の活用ガイドライン」では、監事を区分所有者から選任できない場合の外部機関による外部監査や、役員派遣を受ける場合の派遣団体による内部監査などについても言及されています。
区分所有者以外の第三者が管理者になる上記の管理形態を「第三者管理」もしくは「管理者管理」と呼んでいますが、、当該管理者には、多くの場合、管理会社が就任しています。
「管理者管理」そのものは従来からリゾートマンションや投資用マンション向けに導入されてきましたが、最近では都心などの一等地にある比較的小規模な高級マンション等の居住用マンションにも導入され始めているようです。
「管理者管理」では、管理のほとんどが「丸投げ」となり、管理者による専横行為や不適切な利益相反取引を牽制するための監査体制が必須となります。
上記の提案にあるように、『管理組合の監事はマンション管理士や監査法人の独占資格とするよう提案。「管理会社による利益相反も防げる」と、メリットを示した。』とあるように管理協会主催の発表会で、将来における日本のマンション管理のあるべき姿として当該「新・管理者方式」を提案されたのは注目すべきことではあります。
投稿者プロフィール
- マンション管理士(国家資格)・宅地建物取引士(国家資格)・区分所有管理士(マンション管理業協会認定資格で、管理業務主任者の上位資格)・マンション維持修繕技術者(マンション管理業協会認定資格)・管理業務主任者(国家資格)資格者で、奈良県初、大阪府堺市初かつ唯一のプロナーズ認定者
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