マンション管理新聞は、国税庁の「法人番号公表サイト」で全国に管理組合法人がどの程度あるかを調べた。商業ビルなど非住宅系の区分所有建物や戸建て住宅団地を除いた結果、分譲マンション管理組合法人と考えられるものは3766だった。
 一般社団法人マンション管理業協会(管理協)が昨年発表したマンション管理受託動向調査結果によれば、2018年3月末現在の会員会社受託管理組合数は9万6491。管理協では同年3月末時点の会員受託戸数シェアを全マンションストック戸数の92.2%と見ており、この数字を管理組合数に当てはめると、全国の管理組合数はおおむね10万4650程度と想定することができる。
 団地型で棟別管理組合がある場合、法人登記は棟別にできるため、数値にずれは生じるが、仮に10万4650を母数とした場合の管理組合法人化率は3.6%と考えられる。
 同サイトから区分所有建物の管理組合法人数を集計し、表にまとめた(当該表は省略)。「非分譲マンションと考えられる区分所有建物」はビルや所業施設など。法人化しているケースでも、登記事項が閉鎖されている場合はカウントしていない。
 管理組合法人登記が最も多かったのは、東京都で1255。ただ東京で事務所登記を行っている管理組合法人の中には、実際のマンションは東京以外の道府県に所在していると想定できるものが225あった。このため都内の管理組合のうち法人化しているのは、1030になる計算だ。
 2位は神奈川県で331。3位は北海道は290。東京が全体の約3割程度を占める。
 100件を超えているのは10都道府県にとどまった。
 東京カンテイによれば、北海道のストック数は全国9位(20万8259戸、おととし12月末現在)。ストック数との関係では、大阪府や千葉県などと比べて法人化している管理組合の割合が多い計算になる。
 同12位(9万1053戸)の静岡県は組合法人数136。広島県はストック数10万戸を超えているが、組合法人数は41と、ストック数1万1578戸の山梨県(43件)よりも少なかった。
 225法人中、44法人のマンション所在地は愛知県だった。同県の組合法人数は108だが、44をプラスすると152になる。神奈川県が37、福岡県が31で続いている。
 岩手県は法人登記件数はゼロだが、都で登記され同県に建つマンションが1件ある。
 三大都市圏別に組合法人数をみると、首都圏1915、中部圏264、近畿圏532。首都圏が全体のほぼ半数を占めていた。
以上、マンション管理新聞第1093号より。

 権利能力なき社団である一般の管理組合から法人化した管理組合法人は、新規設立法人と同様の取り扱いを受けることになります。
 すなわち、税務上は、管理組合と管理組合法人の連続性はなく、収益事業を実施している管理組合が会計期間の期中で法人化した場合は、期首から法人設立までの期間と法人設立から決算期末までの期間でそれぞれ決算を実施し、申告手続きを行う必要があります。
 管理組合を法人化するメリットは、通常の管理組合は法人格を持たないため、例えば、隣地を駐車場用地として取得するなど、不動産等を取得する際に、直接不動産の所有者として登記することができず、理事長名義もしくは区分所有者全員ので共有名義で登記する方法しかありません。
 そのため、管理組合名義で登記するために法人化した上で、不動産等を取得することが行われています。
 しかしながら、通常の管理組合では収益事業行わない限り課税されることはありませんが、法人化すると、減免措置のある自治体も多いですが、収益事業の有無にかかわらず、均等割に課税されることになります。
 さらに、代表者は、登記事項であるので、原則、理事長の変更のたびに登記をしなければなりません。
 結論としては、管理組合が不動産等を取得する予定等がない場合は、法人化するメリットはなさそうです。

投稿者プロフィール

福井 英樹
福井 英樹福井英樹マンション管理総合事務所 代表
マンション管理士(国家資格)・宅地建物取引士(国家資格)・区分所有管理士(マンション管理業協会認定資格で、管理業務主任者の上位資格)・マンション維持修繕技術者(マンション管理業協会認定資格)・管理業務主任者(国家資格)資格者で、奈良県初、大阪府堺市初かつ唯一のプロナーズ認定者